ロシア当局、法輪功学習者の女性を2か月拘留 米ホワイトハウスが懸念示す

2024/05/06 更新: 2024/05/05

ロシア当局は中国共産党と歩みを揃え、自国内で信仰への弾圧を強めている。モスクワ市トゥシンスキー地区裁判所は4日、法輪功学習者であるナタリヤ・ミネンコワ氏(46)について、2か月間の拘留を命じた。米ホワイトハウスは本件について懸念を表明した。

ロシア警察は3日、モスクワの法輪功学習者5人の自宅を家宅捜索し、4人を拘束したほか、法輪功関連の書籍などを押収した。家宅捜索の様子は警察によって録画され、公開された。拘束された4人のうち1人は釈放されたが、ミネンコワ氏ら3人は翌4日まで拘束された。

ロシア国営通信インタファクスは「好ましくない組織の活動」に対して法執行したと報じた。根拠となる法律は、2015年に制定された刑事法だ。当該法律は、独立ニュースメディアや米国のシンクタンクなど、100以上の組織を対象に取り締まりを行うもの。

いっぽう、ナタリヤ・ミネンコワ氏が所属する「法輪大法センター」は、取り締まりの根拠となっている法律によって違法と定められていない。また、「法輪大法センター」はロシア司法省が当該法律をもとに定めた違法組織のリストにも含まれていない。

ロシアは2022年2月に中国当局と「上限を設けない」パートナーシップ協定を締結した。その後のウクライナ戦争を通して、ロシアは対中依存をますます強めてきた。法輪功への弾圧は、中露の緊密な連携を如実に表している。

中国の伝統的な修煉法である法輪功は、1992年5月、李洪志氏により伝え出された。優れた健康増進効果があったため口コミで広がり、最大1億人もの人々が学んだと推定されている。

1999年当時、法輪功の人気ぶりを恐れた江沢民は弾圧を開始。以来、多くの学習者が不当な逮捕や拷問、収監などの非人道的な迫害に遭っている。

法輪大法情報センターのレビ・ブラウダ事務局長は「ミネンコワ氏がしたことは、公園で気功をして、自宅で法輪功の書籍を読むというだけのことだ。法輪功は宗教でもカルトでもない」と指摘。中国共産党のプロパガンダを引用するロシア政府系メディアの報道は「完全に間違っている」と批判した。

さらにブラウダ氏は、「全世界において、中国共産党だけが法輪功を悪者扱いし、弾圧してきた。ロシア当局には、中国共産党の圧力に屈することなく、自国民の権利と自由を守ることを求める」と呼びかけた。

ホワイトハウスも注視

ホワイトハウスのジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は6日、ロシア当局による法輪功学習者への不当な扱いについて「ロシアが言論・報道・集会・信教の自由に関して、あらゆる人々を弾圧するのは驚くに値しない」と述べた。米紙主催の講演会に出席したサリバン氏は、中ロ関係の緊密化を指摘し「我々は両国の関係を注意深く見守っている」と語った。

ロシアのプーチン大統領は今月中に中国を訪問する予定で、ウクライナ侵攻開始以来初の外遊となる。

ロシアでは2011年、法輪功の書籍「転法輪」の発行を禁止した。2021年には複数の都市で法輪功学習者が家宅捜索されている。 

このような状況に対し、米国務省は最新の人権報告書で、ロシア当局が法輪功をターゲットとして、テロ対策法などを乱用していると批判した。

米国際宗教自由委員会(USCIRF)のスージー・ゲルマン委員も「ロシアが法輪功関連団体を『好ましくない』として禁止することは、国際的に保護された信教の自由への明白な違反だ」と指摘し、法輪功学習者らに対する訴追の停止を求めた。

大紀元の姉妹メディア新唐人テレビ(NTDTV)の取材に答えたゲルマン委員は、「ロシアは法輪功学習者の平和的な活動を犯罪として扱おうとしているが、これは断じて容認できないことだ。プーチン政権下で宗教的少数派の権利が危機に瀕している。国際社会は団結して、ロシアにおいて信教の自由が尊重されるよう、要求していかねばならない」と、人権状況の改善を訴えた。

欧州人権裁判所は2月、法輪功関連資料の発行を禁止するロシア当局の行為は「違法」であるとする判決を下した。

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。
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