新報告 中国共産党の「臓器狩り」 隠された実態と真相

2024/06/28 更新: 2024/06/29

1999年以来、中国本土の臓器移植業界は急速に成長している。臓器の供給速度や移植センターの数・規模において、中国は世界のトップに立っている。この急激な成長の背景には何があるのか。アメリカの人権擁護団体が発表した最新の報告書が、中国本土の臓器移植業界に関する詳細を明らかにしている。

法輪功迫害を調査する「追査迫害法輪功国際組織(追査国際)」は最近、「中共(中国共産党)による法輪功学習者臓器摘出 国家による集団絶滅犯罪の直接証拠」という報告書の更新版を発表した。この報告は、元中共党首・江沢民の命令に基づき、法輪功学習者の臓器摘出が行われていることを示している。これは計画的で組織的、かつ長期にわたる問題であり、既に25年も続いている。

中共が情報を隠蔽しているため、現在得られている証拠は氷山の一角に過ぎないが、それでも臓器摘出の実態を垣間見ることができる。

中国の病院による臓器摘出の実態

2024年6月中旬、ある患者の母親が武漢同済病院の李占飛医師に対する批判と責任追及を行うビデオが、多くの中国語メディアやソーシャルメディアで公開された。

このビデオでは、28歳の若者が脳外傷のため武漢同済病院を訪れた際、自己呼吸テストを行わないまま、病院側が脳死と判断し、家族に臓器提供を強く勧めたことが示されている。家族が若者の死因に疑問を持つと、病院側は心電図や火葬場の資料などを偽造していた。

母親はビデオの中で、「なぜ手順を踏まずに臓器提供を迫るのか。ここは命を救う病院なのか、それとも臓器のために命を奪う施設なのか」「お前たちは陰謀を企んでいる。なぜ私の子供が脳死だと言うのか。脳死は生体臓器提供の基準であり、これはあまりにも残酷だ!」と怒りを露わにしている。

2019年4月28日、ハルビンの法輪功学習者・張秀琴さんが、多種の拷問や性暴力を受けた後、ハルビンの中共解放軍第962病院(元解放軍第211病院)感染科で臓器摘出により死亡した。

彼女は当時46歳だった。病院側が遺体を処理している際に、張秀琴さんは奇跡的に蘇生し、良心的な医師に発見された。彼女は死の直前に、中共による拷問や臓器摘出の体験を明かした。

このような臓器摘出の事例は中国では近年のことではなく、20年以上にわたり続いている。

追査国際による独立調査

2003年にアメリカで設立された「追査国際」は、十数年にわたる独立調査を経て、大量の証拠を収集している。報告によると、江沢民がこの取り組みを主導し、法輪功学習者の臓器摘出を命じていた可能性があると指摘している。

最近発表された追査国際の更新版報告書によると、2006年3月9日に中共の法輪功学習者の臓器摘出の問題が国際的に暴露された翌日から、追査国際は即座に中国本土への独立調査を開始した。

十数年にわたる持続的かつ体系的な追跡調査を行い、中共の政治局常務委員5人、軍委副主席1人、政治局委員、国防部長、前解放軍総後勤部衛生部長、中国の891の臓器移植病院、9519人の移植専門医を追跡調査し、移植病院の数十万件の公開メディア報道、論文、病院サイトのバックアップやデータベースの多岐にわたる検索と分析を行った。

その結果、2千以上の電話録音証拠と数万件の資料証拠を得た。2023年10月までに追査国際は188件の調査報告を公開し、866件の調査録音証拠、4千件以上の資料証拠を含んでいる。

そのうち、中共の法輪功学習者の臓器摘出を認めるか、直接指摘する録音証拠は66件である。これらの証拠は、中共による臓器摘出が組織的に行われてていることを示している。

「追査国際」の証拠

2015年6月24日、追査国際の調査員が江沢民の秘書を名乗り、江沢民が法輪功学習者の臓器を数百万件摘出するよう命じた件について、カザフスタンを訪問中の中共国務院張高麗副総理(当時)に調査を行った。

以下はその一部の録音の要約である。

張高麗 「ああ、私は張高麗です」
調査員 「そうです、私は江沢民同志の秘書である劉です」
張高麗 「劉秘書、こんにちは!」
調査員 「こんにちは! 江沢民同志があなたに伝えるべき言葉があります。最近、法輪功学習者数万人が最高検察院に江沢民同志を告訴し、江沢民同志が数百万の法輪功学習者の臓器摘出を命じた責任を追及しようとしているので、江沢民同志はこれを非常に懸念しています。彼は……」
張高麗 「ああ」
調査員 「彼はあなたに政治局でこの件を討議する    際、必ずこれを阻止するように求めています」
張高麗 「はい」
調査員 「それができますか?」
張高麗 「はい、はい、はい」
調査員 「あなたは(法輪功学習者数万人が)数百万の法輪功学習者の臓器摘出の責任を追及することの重大さを理解していますか?」
張高麗 「私は今カザフスタンにいます」
調査員 「ああ、そうです」
張高麗 「今飛行機から降りたところです、うん」
調査員 「そうです、帰ったらこの件を……」
張高麗 「江主席に安心していただけるようにします」
調査員 「もう一つの件ですが」
張高麗 「私は、私は……」
調査員 「この件を阻止しなければなりません、理解していますね」
張高麗 「はい、必ず!」
調査員 「(法輪功学習者数万人が)江沢民同志が法輪功学習者の臓器を数百万件摘出するよう命じた責任を追及することは重大です」
張高麗 「ああ、江主席の健康長寿を祈ります」
調査員 「この件は必ず早急に対応してください。残りの法輪功学習者の処理も問題を起こさないようにしてください」
張高麗 「はい、はい、はい」
調査員 「それでは」
張高麗 「はい、はい、はい」
調査員 「さようなら」

2019年末から2020年初頭にかけて、追査国際の調査員は中共空軍軍医大学(旧第四医大)西京病院腎移植科の李国偉医師に対して、提供された臓器供給者が法輪功学習者であることを認めさせた。

調査員が自分の身分を明かし、李国偉にそれ以上の関与をやめるよう促したが、李国偉はこれを拒否した。

以下はその対話の一部である

李国偉 「あなたは、どのような人々が救われたと言うのですか?」
調査員 「法輪功学習者の臓器摘出の内幕を暴露したら、それを続けることはできません。」
李国偉 「続けることができなくなったら、その臓器を待っている人々はどうするのですか?」
調査員 「命を救うのは、正当な手段で行われるべきです。人々の命を救うために他の善良な人々を殺すことはできません」
李国偉 「誰が善良な人々を殺したのですか?」
調査員 「法輪功の人々は善良な人々ではないのですか?」
李国偉 「それは私とは関係ありません。私はただの一般市民です。あなたの言うことは役に立ちません」
調査員 「しかし、あなたは直接臓器摘出に関与しています。あなたは手術者であり、加担者です」
李国偉 「反共産党の理論を私に言わないでください。中国は一党制ですから、そんなことは言わないでください!」

2020年12月29日、追査国際はアメリカ在住の中国系アメリカ人陸樹恒さんの告発を報告した。

陸樹恒さんの告発の要約は以下の通り

手術室に拘束された法輪功学習者が入ると、皆「法輪大法は素晴らしい!」と叫んだ。これは、彼らが 法輪功学習者であることを示しており、死刑囚ではないことを示している。また、彼らが健全な精神状態であり、行動能力のある正常な人々であることを示していた。

また親族の周清(陸樹恒の義姉、周玉の姉)さんは、上海武警病院で麻酔を使わずに法輪功学習者の臓器を生体摘出する恐ろしい経験を語った。

「手術中、彼らは耐えられない激痛に必死に叫んだ。これは麻酔を全く使用していないことを示している」

周清さんは外科医であり、大量の開胸手術を行ってきたが、臓器移植のために麻酔なしで臓器を摘出する恐ろしい光景に、連続して悪夢を見るほどだった。

「必要な部位には麻酔をかけず、新鮮で麻酔を受けていない臓器ほど品質が良いのだ。法輪功学習者に対して麻酔をかけずに臓器を生体摘出することが一般的に存在している」

日本の経済評論家・菅原潮氏

2022年11月23日、日本の経済評論家・菅原潮氏はこう証言した。彼は、北京武警総病院肝移植科で20代の法輪功学習者が両手、両足の腱を切断され、生体肝臓摘出のためにベッドに拘束される光景を目撃したという。

武警総病院移植科の医師はこう言った。「中国は人口が多いので、任意の数の適合する臓器提供者を準備できます」

追査国際の代表・汪志遠氏は、彼の発言について、「必要なだけの生体臓器提供者を確保しており、中国人は多く、彼らを好きなだけ利用できる」、「これは中共が生体臓器提供者の収容所を持っていることを示す」と述べた。

遼寧省公安内部の告発

ある証人は、遼寧省公安システムで働いていたとき、法輪功学習者を違法に逮捕し拷問する行動に参加していた。

2002年4月9日、瀋陽軍区総病院の15階の手術室で、証人は銃を持って警備し、2人の軍医(そのうちの1人の軍官証番号は0106069)が30代の法輪功学習者の女性教師の心臓、肝臓、腎臓を麻酔なしで生体摘出する光景を目撃した。この女性教師はこの時すでに1か月間の厳しい拷問、侮辱、強姦を受けていた。

追査国際は北京豊台にある中共解放軍307病院移植科の腎臓供給連絡員・陳強に対して調査を行った。彼は「本名を調べることができない場合、コードネームしか残さない」と明言し、さらに「法輪功学習者の臓器取引を公式、警察、刑務所が一体となって行っている」と強調した。法輪功学習者のドナー身分を証明する資料を提供できるとも述べた。

2016年4月19日、黒竜江省牡丹江市の法輪功学習者・高一喜さん(男性、45歳)は、牡丹江市公安局先鋒分局円明社区警務室副隊長・呂洪峰など5人により違法に拉致され、牡丹江市第二拘置所に拘禁された。30日に警察は家族に高一喜さんが死亡したことを通知し、遺体は牡丹江市の四道火葬場にあり、すでに「解剖」されていると伝えた。

2016年6月21日、中共黒竜江省牡丹江市「610弁公室」朱家濱総合科長は調査員に対し、高一喜さんの臓器を摘出し「売った」と公然と認めた。

中国の臓器移植センターの数は急増

汪志遠氏は、「上記の多くの証拠に基づき、これは国家犯罪であり、党首の命令に基づいて、長年の経験を持つ基礎の上に、国家機関全体が関与し、全国に広がる収容所のような生体臓器提供者のサポートにより、移植数が爆発的に増加した」と述べた。「そのため、規模は巨大であり、人間の想像を超えている」とも語った。

統計によると、中国では毎年数百から数千件の移植を行う臓器移植センターが96か所ある。これらはすべて三級甲等(略称三甲)病院であり、通常は軍隊の直属病院や主要都市の有名な病院、または重点大学の付属病院である。

毎年数百件の肝臓、腎臓移植を行う移植センターは50か所ある。これらの移植センターは、衛生部指定の移植資格を持つ病院であり、多くは地方の省級病院や省都都市の大学付属病院である。

移植資格を得ていない軍警病院と三甲病院の大規模移植施設は408か所ある。これには、資格を得ていない56か所の軍隊武警病院と、資格を得ていない352か所の地方三甲病院が含まれる。

また、移植資格を持たない中小規模の移植センターは153か所ある。これらの中型病院の移植施設には、三級乙等病院や二級病院の移植センターが含まれる。これには少数の小型民間病院や地方病院も含まれる。これらの中型病院の移植センターは、主に腎臓移植を行っている。

追査国際の調査によると、法輪功学習者から臓器を摘出する迫害は1999年末から江沢民が命じ、中国共産党が主導し、政法委(中国共産党中央政法委員会)や旧「610」体制(法輪功迫害のための超法規体制)を通じて国家機構全体を操り、25年間にわたり中国全土で行われ、現在も続いている。

同時に、巨大な臓器需要システムによって、臓器摘出の対象は拘束された法輪功学習者や一部のウイグル人、チベット人だけでなく、多くの一般人も含まれるようになった。中国共産党はおぞましい殺人産業チェーンを作っている。

袁麗
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