今月3日、中国遼寧省の建設現場で、「強制取り壊し隊」とされる集団が市民の車によって轢かれる事件が起きた。その時の様子を捉えた動画がSNSに流れており、物議を醸した。
動画の中には「遼寧三江実業集団」と書かれた看板のある工事現場で、白い服を着た男がマスクをつけた黒服の集団と衝突をする場面があった。この後、白い服の男が白い車に乗り込んだ後、車は急発進して黒服の集団にそのまま突っ込んだ。白い車に轢かれた多くの黒服の男は近くの溝に突き落とされている。
事情を知るユーザーたちによると、「事件」は今月3日に遼寧省丹東市で起きた。黒服の男は現地のならず者で「強制取り壊し隊」だという。
「黒服の男たちが白い車の所有者の母親を殴ったうえ、母親に会いに行こうとする息子を阻止したため、その友人(白い服の男)が車を運転して黒服の男たちを轢き飛ばした」
ネット情報しかなく、事実確認はとれていないが、当局による発表もないため、死傷者不明だ。
(事件当時の様子)
中国では、地方政府による住民の土地の強制的な収奪が横行し、以前から大きな社会問題になっており、今も続いている。
表面上では「都市再開発」などをうたっているが、実際には「巨額の借金の穴埋め」のために、土地を取り上げて売りさばいており、巷からは「儲けたいだけではないか」という疑問の声もあがっている。
土地を収奪される住民に対しては、政府側が雇った取り壊し隊などが殴打、嫌がらせ、留置など暴虐な手段をふるう手法がよく用いられ、立ち退きを拒否する住民が、焼身自殺をして抗議するケースも頻発している。
立ち退き被害者は、訴えようにも訴える場所がなく、泣き寝入りするしかない。なかには、地域の陳情局へ陳情する被害者もいるが、その場合、住民の話を聞いて対応してくれるどころか、かえって現地政府の弾圧対象にされ、子孫の代まで苦しめられるという。
近年、強制的な土地収奪に対して市民が反抗するケースも相次いでおり、先月には「強制立ち退き」被害者が地方役人を刺殺する事件も起きている。
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