27日夜、中国湖南省長沙市の街中で、車が人だかりに突っ込み、多数の死傷者が出た。
ネット情報だと少なくとも14人が死亡。いっぽう、公式発表では死者8人となっている。
事件後、事件関連情報は中国のネット上で封殺に遭っており、現地当局が出す事件通報には容疑者の動機については言及されていない。
(事件現場の様子)
責任者を殺害した男性が英雄視される今の中国
エポックタイムズの取材によると、車を運転していたのは、「政府による土地収用」の件をめぐって長年権利擁護を訴えてきた経歴を持つ男(50代)だそうだ。取材に応じた市民も、男と同じく土地を収用された被害者だという。
この市民によると、この男の土地は(男のものも含む)商業用住宅の建設に使うため当局に収用され、家などの建物は有無をいわさず取り壊された。補償金は支払われたものの、規定の額は支払われないまま20年たったという。
今回、建設が始めることになり現地の役人は村民の土地を占有するため、26日夜から27日にかけて工事を強行した。
市民は男が凶行に走った時のことを語った。
「工事が行われた夜、男を含む多くの被害者は工事現場へ行って権利を訴え、施工を阻止しようとしていた。当時現場には大勢の警察も来ており、ぜんぶで数百人はいた。事件の夜、彼は歩きで現場に向かった。現場責任者の態度に怒り、家に戻って車を運転して再度現場に舞い戻り、現場責任者らを次々と車ではね、8人死亡した」
この市民にとって、8名の現場責任者を轢き殺した男は「英雄」だという。なぜなら彼は正直者で、これまでずっと陳情をしてきたが、そのたび弾圧されてきたからだと語る。
「土地収用の問題は現地では社会的な怒りを引き起こしている。土地徴用された村民は10年以上権利を訴えてきた。過去にはそのために暴力をうけ亡くなった村民もいる。いまは、このようなこと(土地収用をめぐるトラブル)が本当にあふれている、この国に正義はない。とにかく大騒ぎしないと、誰も相手にしてくれない」
横行する土地収奪 奪うのは政府
中国では、地方政府による住民の土地の強制的な収奪が横行し、以前から大きな社会問題になっており、今も続いている。
表面上では「都市再開発」などをうたっているが、実際には「巨額の借金の穴埋め」のために、土地を取り上げて売りさばいており、巷からは「儲けたいだけではないか」という疑問の声もあがっている。
土地を収奪される住民に対しては、政府側が雇った取り壊し隊などが殴打、嫌がらせ、留置など暴虐な手段をふるう手法がよく用いられ、立ち退きを拒否する住民が、焼身自殺をして抗議するケースも出てきている。
立ち退き被害者は、訴えようにも訴える場所がなく、泣き寝入りするしかない。なかには、地域の陳情局へ陳情する被害者もいるが、その場合、住民の話を聞いて対応するどころか、かえって現地政府の弾圧対象にされ、子孫の代まで苦しめられるという。
こうした強制的な土地収奪に対して、近年、市民が反抗するケースも相次いでいる。先月には「強制立ち退き」被害者が地方役人を刺殺する事件も起き、今月3日も遼寧省の建設現場で「強制取り壊し隊」が市民の車によって轢かれる事件が起きた。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。