8月6日にアメリカの裁判所から公表された文書によれば、アメリカ司法省はイラン政府との関連が疑われるパキスタン人を告発し、彼がトランプ前大統領をはじめとするアメリカの現・元高官の暗殺を計画していたとされている。アメリカ連邦捜査局(FBI)は、この暗殺計画が外国の命令に基づいていたと発表している。
ニューヨーク州東部地区の連邦検察官事務所が8月6日に明らかにした刑事告訴状によると、46歳のパキスタン人、アシフ・マーチャントがニューヨークでプロの殺し屋と結託し、8月末から9月初旬にかけてアメリカの要人を狙った暗殺計画を進めていたという。
刑事訴訟の記録にはトランプの名前は記されていないが、この事件に精通している筋から、ABCニュースやCNNなどのメディアに対し、トランプ氏が暗殺計画の対象者の一人であり、他にも両党の政府高官が標的にされていることが伝えられている。
裁判所の文書によれば、イラン滞在後の今年4月頃、マーチャントはパキスタンからアメリカに入国し、暗殺計画の実行を手伝ってくれると信じた人物に接触した。その人物はマーチャントの計画を法執行機関に通報し、情報提供者として秘密裏に協力した。
FBIニューヨーク支部のクリスティ・カーティス副支部長は6日のプレスリリースで、「幸運にも、マーチャントが雇用しようとした殺し屋は、実はFBIの潜入捜査官であった」と発表している。
マーチャントは6月中旬に、この潜入捜査官である「殺し屋」と会い、海外の協力者からの支援を受けて5千ドル(約72万8945円)を前払いした。
マーチャントの話によると、彼がアメリカを出国した後、殺し屋は8月の最終週か9月の初週に、暗殺の対象者についての指示を受ける予定であった。
マーチャントは7月12日にアメリカから出国する飛行機のチケットを取っていたが、出国予定日の同日に法執行機関によって逮捕された。
現在、マーチャントはニューヨークで拘束されており、彼はイランとパキスタンにそれぞれ妻と子どもがいると語っている。
アメリカのメリック・ガーランド司法長官は6日の声明で、アメリカは「独裁政権からのアメリカ公務員への攻撃や、国の安全を脅かすような行為を絶対に許さない」と強く言明している。
また、FBIのクリストファー・レイ長官は、外国からの指令を受けた暗殺はアメリカの安全に対する脅威であるとし、「FBIはあらゆる力と資源を投入してこれに立ち向かう」と発言している。
マーチャントが逮捕された次の日の7月13日には、トランプ前大統領がペンシルベニア州バトラーで行った選挙集会で銃撃を受けた。20歳の容疑者トーマス・クルックスがトランプ氏の右耳の上を銃で撃った。
ある法執行機関のスタッフがCNNに伝えたところによると、捜査官たちはマーチャントがバトラーの銃撃事件に関与しているという証拠を一切発見していないとのことである。
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