2024米大統領選 日々の食事や住宅価格が家庭の財政が堕胎権より重要?

大統領選直前の争奪戦 トランプ氏とハリス氏が女性有権者を狙い

2024/11/01 更新: 2024/11/01

2024年のアメリカ大統領選の最終週に入ると、共和党候補の前大統領トランプ氏と民主党候補の副大統領カマラ・ハリス氏は、女性有権者を巡る最後の戦いを繰り広げている。トランプ氏は「女性の保護者」としての役割を主張する一方、ハリス氏は女性の生殖権の問題を強調し、トランプ氏のアプローチを批判している。

『ザ・ヒル』の10月30日の報道によると、トランプ氏はウィスコンシン州の夜の集会で、「もし私が選挙に勝てば、女性を守る。女性がどう思おうと関係ない」と発言する。この集会で同様の発言を繰り返す。

トランプ氏は「いいか、女性がどう思おうと、私はこれをやる。彼女たちを守る。移民やミサイルその他の外国の攻撃からも私たちを守る」と語る。

ハリス氏の助手は、トランプ氏が女性有権者に関心を持っていないことを示していると考える。

ハリス氏の選挙チームのスポークスマン、ジェームズ・シンガー(James Singer)氏は、SNSプラットフォームXに「この集会の定義的なセリフは? トランプ氏『女性が好きかどうかに関わらず、私はこれをやる』」と投稿する。

ハリス氏はトランプ氏が女性の「保護者」となることを批判し、これを女性の生殖権の問題に関連付ける。

この対決は選挙日まで1週間を切り、トランプ氏は女性支持者とのギャップを縮めるために懸命に努力する。

トランプ氏は9月末の集会で、聴衆の女性たちに向かって次のように述べる。「私はあなたたちの保護者だ。あなたたちの保護者になりたいと思う。大統領として、私はあなたたちの保護者であるべきだ。フェイクニュースは『彼が、彼女たちの保護者になりたいと思っている』と言わないことを願っている」

女性の体の自主性と中絶権は、アメリカの大統領選挙において非常に重要な議題である。これに対して、ハリス氏は生殖権の問題を彼女の選挙活動の中心に据える。彼女は、連邦最高裁判所が、女性の堕胎の権利を保障すると判断された「ロー対ウェイド事件」の判決や、全国の州が、その後に通過させた制限的中絶禁止令をトランプ氏のせいに帰責し、多くの女性有権者の支持を得た件である。

経済や移民問題と中絶権

しかし、経済や移民問題に比べてどうなのか、重要な激戦州の有権者は、大統領選挙と中絶権問題において、明らかに分かっている。

フォックスニュースの世論調査によると、激戦州であるネバダ州では75%の有権者が中絶権を保護する州憲法修正案を支持するが、トランプ氏に投票した有権者はハリス氏を上回る。

同様の分別状況は、激戦州であるアリゾナ州にも見られる。「ニューヨークタイムズ」とシエナ大学(New York Times/Siena College)の世論調査によると、合法的な堕胎を支持する州憲法修正案に賛成する有権者は58%、反対する有権者は35%である。しかし、大統領選挙では、50%の回答者がトランプ氏に投票し、45%がハリス氏に投票するとされる。

この件について、アメリカ南西部で世論調査を行っている専門家のマイク・ノーブル(Mike Noble)は、NBC(ナショナル・ブロードキャスティング・カンパニー)で、アリゾナ州とネバダ州の有権者が、堕胎権を支持しているものの、大統領選挙では経済や移民といった重要な問題に基づいて、投票先を決めると指摘する。そのため、彼らは堕胎権を支持しない大統領や連邦上院議員に投票することになるだろう。

「堕胎権は重要な問題なのだが、他の問題の方が優先される。堕胎権は重大なテーマだが、日々の食事や住宅価格が家庭の財政に与える影響には及ばない」

吳香蓮
関連特集: 2024米大統領選