アメリカ政治 複数の米上院議員は、米中科学技術協力が意味をなした時代はとうに過ぎ去ったと指摘

米中科学技術協定を巡る懸念 上院議員が指摘するリスクと倫理問題

2024/12/23 更新: 2024/12/23

共和党の上院議員グループは、バイデン政権に対し、中国共産党(中共)政府との新たに延長された科学技術協定(STA)の撤回を求めている。議員たちは、中共政府が国家主導の産業開発や軍事目的を推進し、これがアメリカの利益を損なっていると懸念している。

12月13日、アメリカは中国との科学技術協定(STA)を5年間延長した。アメリカ国務省は、この延長には知的財産や研究を保護するための「防護措置」を設けており、STAは時代遅れで、中国政府によるアメリカの知的財産窃盗を防止するには不十分だという主要な批判に対応していると説明。

しかし、上院外交委員会の筆頭委員であるジム・リッシュ議員を中心とする共和党議員グループは、STAの延長は「間違いだ」と主張している。「米中間の科学技術協力が妥当だった時代はすでに過ぎ去った」と指摘している。

19日、ブリンケン国務長官に宛てた書簡に議員らは「中国は未来の技術を支配しようと、合法・違法を問わずあらゆる手段を用いている」と記した。「リスクは明白だ。中国がSTAによる研究協力を利用し、国家主導の産業開発を支援し、アメリカの利益を損なう軍事目的を推進していることがわかっている」と述べている。

STAは、1979年にアメリカが中共政権下の中国と外交関係を樹立してから数週間後、ソ連の影響力を抑える目的で締結した。

当時、中国は科学技術分野でアメリカや他の西側諸国に大きく遅れを取っていた。この協定は、アメリカの科学者が膨大なデータや研究資源にアクセスできる一方、中国が科学技術分野で発展の支援を受けられるよう、双方に利益をもたらす協力の機会を提供することを目的としていた。

この協定は2018年に延長され、昨年と今年も一時的に延長されていた。

議員らは書簡の中で、「中共は経済・研究のエコシステムをコントロールすることで、アメリカおよび他国との科学技術関係を活用して技術を取得し、知識のギャップを埋め、戦略的・経済的目標を達成するための重要な人材を育成している」と述べている。

「STAの延長は、大学や企業、専門機関に対して中国との科学技術研究協力を続けるための正当性を与える。米国政府は反対のシグナルを送るべきだ」と主張した。

さらに、書簡では「中国は、過去の合意に従わず、アメリカが資金提供した研究データへのアクセスを制限してきた。中国は、アメリカ市民を交渉の切り札として利用し、アメリカで拘束されている中国人の解放を求める行動を取ってきた。これを考え得ると、我々は、アメリカの研究者の安全を考慮すべきだ」と指摘している。

中共がデータ共有を制限した事例として、コロナによるパンデミック時の対応が挙げられる。中国はアメリカが資金を提供したコロナウイルス研究データへのアクセスを遮断した。また、中国の機関が提供したデータに虚偽不正確な内容が含まれていたとの指摘や、データが被験者の同意を得て収集されたものではない可能性、さらには抑圧された少数派に不当に利用された可能性があるなど、倫理的な問題も浮き彫りとなっている。

国務省は、STAに関して上院外交委員会に対し複数回の説明を行っていた。上下両院の議員は、STAに対する議会の監視を強化し、二重用途研究や人権保護のための防護措置を求める法案を提出している。

この書簡には、ジョン・バラッソ議員、ピート・リケッツ議員、トッド・ヤング議員、ビル・ハガティ議員が署名し、「この緊急性のある問題」に関する回答を求めている。

「米中科学技術協定の延長は、現政権の任期終了間際に行われ、次期政権がこの重要な協定に意見を表明する機会を奪っている。バイデン政権はこの方針を撤回すべきだ」と書簡には記されている。

国務省はこの書簡に関するコメント要請に直ちには応じていない。

 

Cindy Li
オーストラリアのエポックタイムズで、主に中国関連の記事を執筆します。
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