海外で進む法輪功迫害 中国共産党の新たな動きとその背景

2024/12/28 更新: 2024/12/28

中国のオンライン作家で学者の李勉映氏が大紀元に、中国共産党(中共)の上層部が海外の法輪功に対する新たな弾圧を行う中で、江沢民派の人物を起用していることを明らかにした。特にトランプ大統領就任前の政権移行期を利用し、アメリカ政府の法輪功支持を妨害する形で進められているという。

中共が海外で法輪功を迫害する理由

中共指導者らによる海外での法輪功迫害の新たな計画を踏まえ、李勉映氏は根本的な理由をいくつかの角度から分析した。中国国内では、この動きには中共の派閥闘争が深く関わっていると考えている。

李氏によれば、王滬寧(おう こねい)が全国政治協商会議主席に異動して以降、彼が実質的に統一戦線工作を担当している。統一戦線は、主に海外での情報活動を指している。

「法輪功への弾圧は江沢民派が始めたもので、江沢民こそがこの迫害の首謀者だ。江沢民派は法輪功弾圧を幹部昇進の手段として利用してきたため、江派は法輪功弾圧において血の負債を負った集団なのだ」

また、現職の中共国家安全部長である陳一新は、かつて中央政法委員会の秘書長を務めていた。江沢民が法輪功を迫害し始めて以降、政法委は法輪功迫害の指揮センターになっている。

李氏によれば、中共政法委の海外での活動は現在、統一戦線工作の一部に組み込まれている。この業務は必ずしも王滬寧が直接指揮しているわけではないが、陳一新が担当する海外活動は習近平が指示したものだ。

「陳一新は功績をアピールしたいと考えているだろう。彼は王滬寧と非常に良好な関係を築いており、王が江沢民派の人物であることも知っている。法輪功は彼らの主要な攻撃対象であり、陳一新は法輪功を徹底的に倒し、江沢民の負の遺産を消し去ろうとしているのだ」と李氏は指摘している。

習近平の再編と新たな弾圧体制

オーストラリア在住の法学者である袁紅氷氏によれば、2022年の中共第二十次全国代表大会を前に、習近平は公安部長、国家安全部長、政法委書記などの高官と秘密会議を行った。当時政法委秘書長だった陳一新も出席していた。この時点で陳一新は国家安全部長への昇進が内定していた。

習近平はこの会議で「重要な指示」を行い、第18回党大会以前に中共が海外で法輪功を攻撃しようとした試みは、基本的に失敗したと指摘した。そして、新たな弾圧計画を立てると表明した。

この計画は、政法委が統一戦線部や外交部の関連部門を総括に指揮して、陳一新率いる国家安全部が国内と海外で法輪功を攻撃する活動に協力する。この動きは、組織の新たな調整だという。

李氏は、「習近平は王滬寧に統一戦線部を担当させた。それに加えて国家安全部の海外業務も王滬寧に任せた。王滬寧は国際政治を専門とする人物であり、これは彼の得意分野だ」と説明した。

また、習と王が共に国際的な政治工作の経験を持つことが、今回の体制構築の鍵となっていると指摘した。

李氏は1978年に25歳だった習近平が、当時の国務院副総理の耿飈(こう ひょう)の秘書を務めていた点を特に指摘している。耿飈は1971年から1979年にかけて中共中央対外連絡部(中聯部)の部長を務めており、その任務は「西側諸国の政権を転覆させること」にあった。このような背景から、習近平と王滬寧には共通点がある。習が統一戦線部を王に任せたのは、その能力を信頼しているからだと考えられる。

また、王滬寧は江沢民によって登用され、江沢民時代に重要な地位を得た。江沢民が最も憎んでいたのは法輪功である。彼はすでに亡くなったが、江沢民派の多くは法輪功弾圧によって昇進してきた背景がある。この弾圧を維持することが派閥の利益となる。江派に属する人々にとって、法輪功への弾圧は派閥の基盤を固める象徴的な行為であり続けているという。

海外における法輪功迫害の外的要因

中共が今のタイミングで行動を起こした理由について、李勉映氏は国際的な視点から見ると、「習近平は、トランプ氏が再び大統領に就任する前に法輪功の評判を徹底的に貶めようとしており、そのためには手段を選ばない」と指摘している。

トランプ氏は第1期の大統領任期中、中共と対立し、西側諸国全体で中共に対抗する動きを牽引した。当時と現在では状況が異なるが、「習はトランプ氏と法輪功との関係を非常に警戒しており、トランプ氏の返り咲きが実現したら、法輪功への支援をさらに強化する可能性がある」と李氏は述べている。

李氏は中共が崩壊に向かいつつあり、中共自身も危機感を抱いている」と述べた。習近平の発言からもその懸念が表れていると指摘した。

「習は、『海外勢力』の中で法輪功が最も堅固で、また中共にほとんど浸透されていない存在だと認識している」

中共はもはや海外の民主化運動家を主要な攻撃対象としていない。李氏は「民主化運動家、1989年の天安門事件の後、海外に亡命し、中国民主化を目指す活動を続けていた人たちはすでに散り散りになっている。なぜかというと、内部に中共の浸透が進み、それが原因でさらにバラバラになったからだ」と説明している。

王滬寧が権力を握った後、これまでの散発的な攻撃を組織化しようとしているが、民主化運動家に関しては「すでにバラバラになっているため、重点的な攻撃対象とする必要がない」と判断した。

「その代わりに攻撃の矛先を法輪功に向けている。また、江沢民派は特に法輪功に対して強い憎悪を抱いており、これら複数の理由から、王は組織的な手法を用いて法輪功を攻撃している」と李氏は述べている。

王滬寧の攻撃対象は法輪功と神韻だ。「法輪功(学習者)は信仰があり、最も揺るぎない抗議活動を展開し、最も力強いから、王は組織的な攻撃をしかけた」と李氏は指摘している。

また、李氏は王滬寧は神韻に対して以下のような手段をとっていると説明した。

1.「神韻は芸術団体であり、攻撃が比較的しやすい。中共は何らかの理由をでっち上げ、人道的な問題として宣伝する。これは根拠のない誹謗中傷であり、完全にデマに過ぎない」

2.「組織内部に分裂を仕掛け、指導層を引き離すことで内部崩壊を誘発する。特定の人物を取り込んで互いに攻撃させ、結果として組織を分断させる」

李氏は、「王滬寧は歴史を研究しており、今回の攻撃において組織的な力を形成し、法輪功団体を分裂させ、アメリカ社会にネガティブな影響を与えることを目指している」と述べている。

李潔思
駱亜
中国語大紀元の記者、編集者。
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