社会問題 偽物問題と中国消費者の反応

中国各地で「ロシア商品館」が急増 その実態と背景

2025/01/09 更新: 2025/01/09

中国の都市部に「ロシア商品館」が急増している。これらの店舗はロシア風の商品や音楽で満たされているが、中国製品が多く含まれていると指摘される。中露の観光政策や関税免除が背景にある一方、新規参入する企業も増え、偽物問題や持続性に対する懸念も生じている。

近年、中国の主要都市で「ロシア商品館」の数が増加している。赤白青の三色を基調とする店舗は中露両国の国旗を掲げ、マトリョーシカ(民芸人形)などのロシア的な商品を並べ、ロシア語の歌が流れる。これらの店舗は大型ショッピングモールの前などに出店し、多くの消費者を引き付けている。

しかし、ロシア人観光客が訪れると、見たことのない商品や中国向けに特別に製造された商品が多いことに気づく。中国製品や無許可商品も混在し、「中国人が中国人を騙している」との指摘が出ている。

例えば、上海の豫園商業区にある「ロシア商品館」では、ソーセージやクッキー、チョコレートなどが並ぶが、多くの商品にロシア語表記やマトリョーシカの絵が印刷されているに過ぎない。店員は、商品がロシア製であると主張するが、実際には、中国国内で製造されたものが多いという。

この現象の背景には、中露間の関税免除政策や2023年8月からの相互観光ビザ免除制度の再開がある。これを受けて、2024年には多くの企業が「ロシア商品館」事業に参入した。

現在、中国には3400以上のロシア関連企業が存在し、今年だけで800社以上が新規登録されている。しかし、急速な拡大の裏で、閉店の懸念も浮上している。ロシアや東欧の味覚は中国人には馴染みが薄く、一時的な目新しさで購入する消費者が多いためである。

また、偽物の横行により、本物のロシア製品にも悪影響が出ている。さらに、一部の越境EC業界関係者は、これらの店舗の背後に為替操作による利益獲得の仕組みがあることを指摘する。人民元を米ドルに換え、さらにロシアルーブルに両替し、最終的に再び人民元に戻す過程で巨額の差益を得ているという。

「ロシア商品館」ブームは、中国の消費者の好奇心を刺激する一方で、商品の信憑性や持続可能性に疑問を投げかけている。今後、この現象が中露経済関係にどのような影響を与えるか、注目が集まっている。

李淨
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