米国 中国人不法移民を大量追放 

2025/01/16 更新: 2025/01/16

国土安全保障省(DHS)によると、今回の中国への追放便は、近々の7か月間で5回目のフライトだったという。

DHSは、違法に滞在している人々の体系的な追放の一環として、先週、多くの中国人をチャーター便で中国に送還した。 

DHSは、1月10日に発表した声明の中で、アメリカからの最終退去命令を受けた中国国民を大型チャーター便で送還したと発表した。

6日のフライトは、7か月間で行われた5回目のフライトだったとDHSは述べている。このフライトは、北京の関係者と密に連携して実施され、今後もその調整努力は続けると伝えている。

国土安全保障省のアレハンドロ・マヨルカス長官は、「今回、中国に追放した中国国民は、アメリカに合法的に滞在する根拠がないために追放した何百人ものうちの一部である」と文章で声明を述べた。 

マヨルカス氏によれば、この取り組みは「不法入国に対する厳しい対応、外国政府との広範な協力、そして我々の法律に基づいて人道的支援を受けるための安全で合法的な道筋の開発」といった多角的なアプローチの一環であるという。

DHSによると、アメリカと中国の間で調整した努力によって、2024年6~12月にかけて、アメリカ南西部の国境で発見した中国国籍の不法移民の数が62%減少したという。 

中国行きの追放便は6月末に始まり、その期間中に、アメリカ南西部の国境で発見された不法中国人移民の数は劇的に減少し、2160人から820人にまで減った。

ワシントンと北京は、不法移民やその追放の管理で強い協力関係を持っているわけではない。自国民の受け入れを拒否したため、アメリカは、2020年に中国をベトナム、インド、ロシア、パキスタン、ブータン、イラク、イランなどとともに「反抗的な国」として指定した。

中国の場合、外交的には決して単純ではない。2016年の国務省の議会証言によれば、北京は送還問題や、中国での犯罪行為で告発された逃亡者の帰還など、重要視する他の政治問題と結びつけてきた経緯がある。

場合によっては、中国はアメリカが強制送還する不法移民を選別する。人権監視団体「セーフガード・ディフェンダーズ」は2022年の報告書で、中国は不法移民問題を「政治的に敏感な対象を強制送還するための手段として」利用していると述べた。

2024年5月、両国は再び不法中国人移民の追放に向けて協力を始めた。これは、北京がナンシー・ペロシ下院議長(当時)の台湾訪問への報復として協力を中断してから約2年後のことだ。

6月4日、ジョー・バイデン大統領は国境の安全確保に関する大統領宣言を発表した。

この宣言は、特定の例外を除き、南部国境を越えてアメリカに入国する非市民の入国を「一時的に停止し、制限する」と述べている。

宣言後の6月、国土安全保障省(DHS)と司法省は、南部国境での亡命希望者の入国を制限する追加措置を発表した。9月にはその規則を改訂し、「DHS・DOJ共同最終規則」として最終決定した。

DHSのファクトシートによれば、この措置は「我々の対応能力を超えるような高いレベルの状況下で、南部国境を越えた移民の亡命資格を制限する」ことを目的としていた。

アメリカはまた、移民国籍法第243条(d)に基づき、反抗的な国に対してビザ制裁を適用する選択肢も有している。

昨年、DHSはアメリカから74万2千人以上の外国人を追放した。6月4日の大統領宣言から11月末までの間に、740回以上の送還便を運行し、中国、ペルー、エジプト、セネガル、ウズベキスタン、インドなどを含め160か国以上に送還した。

インドと南アジアの地政学を専門とする記者。不安定なインド・パキスタン国境から報道を行なっており、インドの主流メディアに約10年にわたり寄稿してきた。主要な関心分野は地域に立脚したメディア、持続可能な開発、リーダーシップ。扱う問題は多岐にわたる。
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