米上院財政委員会は4日、ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏の保健福祉省(厚生)長官指名案を、賛成14・反対13の投票で可決し、同案を本会議に送付した。
決定的な一票を投じたのは、ルイジアナ州選出の共和党上院議員ビル・キャシディ氏だった。キャシディ氏は先週、ケネディ氏が過去に「ワクチンと自閉症の関連性」を主張していたことを理由に、適格性に疑問を呈していた。しかし、投票後の声明で「ケネディ氏およびバンス副大統領と『深い議論』を重ねた結果、政府から健康食品政策の推進と『アメリカ支持(pro-American)』の政策実行に関する確約を得たため、支持に回った」と説明した。
ケネディ氏は数百種類の食品添加物・化学物質の禁止を訴え、学校給食から超加工食品を排除する方針を掲げている。
しかし、指名承認に向けた公聴会では民主党議員から厳しい批判を受けた。ワクチンに関する誤情報を広めたとされることや、中絶問題への立場が定まっていないことが指摘された。ケネディ氏は長年にわたりワクチンの安全性や有効性に疑問を呈してきたが、「反ワクチン派」との批判を否定し、「ワクチン接種を妨げるつもりはない」と主張している。
仮に指名が承認されれば、ケネディ氏は食品医薬品局(FDA)を管轄するHHSのトップとして、3兆ドル超の医療予算を管理し、メディケアおよびメディケイドを含む1億4千万人以上の医療保険制度を監督する立場となる。
現在、上院本会議では共和党議員の最大3人までの造反は許容されるが、賛否が同数となった場合にはバンス副大統領が決定票を投じることになる。共和党が多数派を握る上院は、これまでトランプ大統領の閣僚指名を一度も否決していない。直近では、国防長官候補のピート・ヘグセス氏が51対50の僅差で承認された。
ヘグセス氏の指名承認を巡る投票では、共和党のミッチ・マコーネル氏、リーサ・マーカウスキー氏、スーザン・コリンズ氏の3議員が反対票を投じた。彼らはケネディ氏の指名承認においても重要なカギを握る可能性があるが、今回の財政委員会の投票には参加していない。
さらに、上院は同日、「指名承認公聴会と委員会投票の間に最低1週間の間隔を設ける」とする「7日ルール」の適用除外を可決し、指名承認手続きを迅速化する方針を示した。
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