トランプ大統領  トランスジェンダー選手の女子スポーツ参加禁じる

2025/02/06 更新: 2025/02/06

トランプ大統領は2月5日、男子選手が女子スポーツに参加することを禁止する大統領令に署名した。

この「女子のスポーツ競技を男子(トランスジェンダーの女性)から守る(Keeping Men Out of Women’s Sports)」大統領令は、1972年に制定された連邦法「タイトルIX」の原則を維持し、女子アスリートの公平な競技環境を守ることを目的としている。ホワイトハウス関係者によると、今回の措置により、男子選手が学校やアマチュア競技で女子選手と競争する「不公平な状況」が解消されるという。

Title IX(タイトルナイン)

米国における公的高等教育機関の教育プログラムや活動等での性差別の禁止について定めた教育改正法第9編の通称
 

トランプ氏は、若い女子アスリートらに囲まれながら署名を行い、「今日をもって、女子スポーツに対する戦いは終わる。これからは、女子スポーツは女子のためだけのものとなる」と強調した。

新たな指針は、「女性の権利と尊厳、そして若い少女たちの競技機会を守る」ことを目的としている。トランプ氏は、自身の政権が「ウォーク(目覚め)の狂気」や「過激なトランスジェンダー思想」によって女子選手が不利益を被ってきた状況を排除するとし、「私たちが今日取る行動は、急進左派による生物学的現実への攻撃から、文化と法律を取り戻すための広範な取り組みの一環だ」と強調した。

ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官は、男子選手の女子スポーツ参加を禁止する方針に対し、民主党支持者を含む幅広い層から賛同の声が上がっていることを指摘。2月5日の記者会見で「この政策は、アメリカ国民の間で非常に支持されている」と述べた。

公平性と安全性の確保を強調

トランプ政権は、女性アスリートが安全かつ公平な環境で競技に参加できるようにするべきだと主張しており、大統領令では、スポーツが若い少女たちの自己肯定感の向上や、薬物乱用・肥満・10代の妊娠率の低下にもつながると指摘している。

この規則は、連邦資金を受けているK-12(幼稚園から高校までの教育機関)および大学に適用される。違反した場合、米国教育省の調査対象となり、連邦資金が打ち切られる可能性がある。ホワイトハウスによると、コロラド州デンバーの高校では、女子トイレを男女共用に変更する決定を行っており、調査が進められているという。

また、ホワイトハウスは全米大学体育協会(NCAA)に対し、男子選手の女子競技参加に関する方針を見直すよう求めている。7千人以上の女子大学アスリートが、男子選手との競争に反対の声を上げているという。さらに、州の司法長官らがホワイトハウスで会合を開き、州ごとの対応について協議する予定だ。

女子競技に男子選手の参加が与えた影響

ホワイトハウス関係者によると、過去数年間で女子スポーツの大会で約900個のメダルが男子選手に授与され、奨学金の機会を含む女子選手の競技環境に悪影響を与えているという。また、トランプ氏は「トランスジェンダー選手が1万1千以上の競技で女子選手と競い、3500回の勝利を収めた」と述べた。

さらに、重量挙げ競技では、男子選手が女子選手の記録を約200キロ(約440ポンド)上回る重量を持ち上げるケースもあったという。また、2022年にはノースカロライナ州の高校バレーボールの試合で、男子選手が強打したボールが女子選手の頭部を直撃し、脳震盪や視力障害などの後遺症を残す事故も発生している。

ホワイトハウスによると、性犯罪被害者である女子学生が、男子選手と同じロッカールームやシャワー室を使用せざるを得ない状況が発生しているという。

バイデン前政権は、トランスジェンダーの権利を保護する立場を取り、就任初日に署名した大統領令により、男子選手が女子競技に参加できるようにした。バイデン氏は、2020年の米最高裁判決「ボストック対クレイトン郡」事件を根拠に、性自認を生物学的性別と同等に扱う方針を示した。

トランプ陣営は、国連と連携し、女性のための単一性別空間の必要性を訴えていく方針を示している。また、2028年のロサンゼルス五輪に向けて、国際オリンピック委員会(IOC)に対し、連邦法を尊重し、男子選手の女子競技参加を認めないよう求める意向を示した。

「私たちは、男子選手が女子選手を打ち負かし、不利益を与える状況を見過ごすことはしない」とトランプ氏は強調した。

トランプ大統領は就任初日、公式の性別を「生物学的な男女」のみと定める大統領令に署名した。さらに、未成年者への外科的な性別変更手術を禁止する大統領令にも署名した。また、トランスジェンダーの米軍入隊を制限する方針も示した。米下院は最近、男性が女子スポーツに出場することを禁止する法案を可決した。

 

カリフォルニアを拠点とする熱心な読書家であり、ジャーナリズムである。大紀元の金融、政治、州議会、そして速報ニュースを担当している。
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