税金滞納倒産が高止まり 事業再生支援の柔軟な対応が急務

2025/02/12 更新: 2025/02/12

東京商工リサーチの調査によると、2025年1月の「税金(社会保険料含む)滞納」による倒産件数は10件であり、16か月連続で毎月10件を超える状況が続いている。この傾向は、2022年2月にコロナ禍での税金納付猶予期間が終了して以降顕著になっている。

負債総額は前年同月比82.4%増の35億8500万円に達し、大型倒産の発生により急増した。中小企業の多くは過剰債務の解消が進まず、新たな資金調達が困難な状況にあり、運転資金確保を優先して税金や社会保険料の納付を先送りしている企業が少なくない。

産業別では、サービス業他が4件、建設業が3件と、この2産業で半数以上を占めている。これらの産業では人手不足が顕著であるが、収益性の低さから税金や社会保険料の納付に苦慮する企業が多い。

政府は2024年に中小企業の事業再生を支援するため「事業再生情報ネットワーク」の運用を開始した。このネットワークは、『国税庁を含め関係省庁が連携して再生可能性の高い中小企業の情報を伝達・共有し、公租公課の確実な納付と事業再生の両立を目指す』ものだという。中小企業の財務状況や事業計画を共有し、適切な再生支援策を提案する機能を持つ。また、金融機関や支援機関との情報共有を促進し、効率的な再生支援を可能にする。さらに、企業の事業継続可能性を評価し、必要に応じて事業転換や廃業の支援も行う。

しかし、現状では再生支援よりも公租公課の確実な納付に重点が置かれている傾向がある。関係省庁には「徴収」ありきではなく、企業の納付意志を確認し、事業再生への支援を前提とした柔軟な対応で納付を促す姿勢が求められている。

大紀元日本の記者。東京を拠点に活動。主に社会面を担当。その他、政治・経済等幅広く執筆。
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