米国務省 中国の呼称を「PRC」から「China」に変更 対中強硬姿勢を反映

2025/02/24 更新: 2025/02/24

米国務省が2月13日、公式ウェブサイト上の中国に関するファクトシートを更新し、中国の呼称を従来の「中華人民共和国(PRC)」から「中国(China)」に変更したことが明らかになった。この変更は、第2次トランプ政権の対中強硬姿勢を反映したものとみられている。

更新されたファクトシートでは、中国共産党(CCP)を名指しで批判する内容が追加された。具体的には「中国共産党による米政府などへの悪意あるサイバー活動を阻止する」との記述や「中国は中国共産党の目標を世界で進めるための手段として、長年にわたり国際機関を操り、転覆させようと試みてきた」といった批判が盛り込まれている。

また、米中の経済関係に関する記述も拡充され、中国経済を「世界で最も閉鎖的な投資環境の一つ」と評価し、米中間の貿易赤字や米国企業が中国で事業を行う上での課題についても言及している。

一方、従来のファクトシートに記載されていた、チベット文化の保護や環境保護、人権問題などに関する米国の対中支援プログラムについての言及は削除された。

この変更について、中国外務省の郭嘉昆(かく・かこん)副報道局長は2月20日の記者会見で「強烈な不満と断固反対」を表明した。郭副報道局長は「事実を歪曲し、中国の外交政策を攻撃し、いわゆる中米戦略競争を煽っている」と批判し「中国への中傷と圧力をやめ、客観的な態度で中米関係にのぞむよう促す」と述べた。

専門家からは、この呼称変更が米中関係に与える影響について様々な見方が示されている。アジア・ソサエティ政策研究所のロリー・ダニエルズ氏は「この動きは、中国共産党の統治の正当性を攻撃するより深刻で危険な物語を反映している」と指摘している。

一方、韓国外国語大学の姜俊永(きょう・しゅんえい)教授は「トランプ政権による対中交渉のための外交的圧力のメッセージだ」としつつも「一つの中国」原則に変更はないとの見方を示している。

今回の変更は、1月に発足した第2次トランプ政権の対中政策の方向性を示すものとして注目されている。国務長官に就任したマルコ・ルビオ氏は対中強硬派として知られており、1月の上院公聴会では中国共産党を「最も強力で危険な敵」と表現していた。

米中関係の今後の展開について、両国の外交姿勢や経済政策の動向が注目される。

エポックタイムズ記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。