北朝鮮による日本人拉致問題の解決を目指す「拉致問題を考える国民の集いin石川」を2025年2月24日、金沢市で開催した。政府と石川県などの共催で行われたこの集会には、拉致問題担当大臣を兼務する林芳正官房長官が出席し、問題解決に向けた国民の意識向上を呼びかけた。
林官房長官は講演で、「2002年に5人の拉致被害者の方々がご帰国を果たされて以来、 1人の拉致被害者のご帰国も実現していないということは、 痛恨の極みでありまして、 誠に申し訳なく思っております」と述べた上で、被害者や家族の高齢化による時間的制約に言及し、「先週20日にも石破総理ともども被害者ご家族の皆様と面会させていただき、何としてでも肉親との再会を果たしたいという切実な思いを直接お伺いいたしました。拉致問題の解決には、最早一刻の猶予もないという切迫感をあらためて痛感したところでございます」と述べた。
林氏はまた、「この拉致問題が時間的制約のある、ひとときも揺るがせにできない人道問題であるとともに、その本質は国家主権の侵害であり、 石破政権の最重要課題でございます」と述べ、この課題解決に向けた取り組みとして、「石破総理は日朝間の懸案を解決するため、もう一度日朝平壌宣言の原点に立ち返り、当時思い描いた思いを大局観を以って実現すべく、この機会を逃すことのないよう金正恩委員長に呼び掛けていく旨を述べております」と続けた。
さらに今月行われた日米首脳会談でのトランプ米大統領との会談内容にも触れ、「石破総理から未だに肉親と再会することができない、 拉致被害者ご家族の苦しみや切実な思い、これをトランプ大統領に直接伝達をした上で、 一日も早くこの問題を解決したいという決意を伝え、 米朝間の交渉の可能性も念頭に、 あらためて理解と協力を求めました」と報告し、これに対してトランプ大統領からは「全面的な指示を得た」と述べ、大きな成果となったことを伝えた。
林氏は、拉致問題について「過去の歴史上の事件ではなく、今なお被害者の自由が奪われ帰国できない状態が続いている現在進行形の問題」と指摘し、そのような認識のもと「啓発活動に尽力していきたい」と述べ、「地域や世代を問わず国民に強い意志を示してもらうことが大変重要だ」と訴えた。
家族会と支援団体「救う会」は2月16日、新たな運動方針を決定。親世代の家族が存命中に全拉致被害者の即時一括帰国を実現するよう政府に要望している。
拉致問題の早期解決に向け、政府の取り組みと国民の意識向上が今後も重要な課題となっている。
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