日本語検定試験「判定不能」続出 SNS時代に揺れる試験の公平性

2025/03/28 更新: 2025/03/28

複数のメディアによると、日本語能力試験(JLPT)の運営機関である国際交流基金は、2024年12月に実施した試験において、一部受験者の解答に「統計上、極めて不自然な同一解答の集中」が見られたとして、該当者の合否を「判定不能」とする措置を取った。

ただし、同基金はこれを「不正行為」と明確に認定しておらず、対象となった人数や、受験料の返金対応などについても具体的な説明は行っていない。

一方、XなどのSNSでは、この判断に強い反発が広がっている。「不正を厳しく取り締まるべき」「受験資格を剥奪すべきだ」といった声が相次ぎ、運営側の透明性や説明責任の欠如を批判する意見が目立った。

時差とSNSが生む“抜け道”

今回問題が発覚したのは、主に大学進学などに求められる「N2」レベルの試験だ。JLPTはN1からN5までの5段階で構成され、専攻や進学先、職種によって求められるレベルが異なり、問題の背景には、試験実施地域ごとの開始時間の時差があると言う。

中国本土では試験が午前9時(日本時間午前10時)に始まるのに対し、日本では午後12時30分からと2時間半の差が生じ、ベトナムなど他の地域でも開始時間が異なるため、試験終了後に解答が漏洩し、次の地域に拡散するリスクを長年指摘してきた。

この問題の根深さを示す証言を、筆者は2015年に留学生から直接聞いた。ある学生によれば、中国でN1試験を受けた友人が、「事前に解答を購入し、満点の180点を取得して大学院に進学した」と、明かしたという。

彼女の担任教授は、日常の会話や授業での成績からその実力を把握しており、不正によって満点を取ったことに気づいていたという。しかし教授は、その状況に対し、半ば諦めたような態度を見せていたと言う。

また、別の留学生も「日本と中国の試験開始時間の差を利用し、N1試験前に解答を入手した」と明かし、中国の東北部ではこうした行為が「比較的一般的」と話していた。

高まる不正リスク 問われる制度の信頼性

情報漏洩のリスクは、以前から存在していたが、SNSの普及によりその影響は一層深刻化している。試験開始直後に解答が拡散する可能性が高まり、国際的な試験の公平性を保つ難易度が上がったのだ。

外務省は、今年1月下旬、国際交流基金に再発防止を指示した。大紀元は同基金に再発防止策を講じる予定や、他のレベルの試験に同じことが起きているかついて、コメントを求めたが返答は得ていない。

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。
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