2月28日、中国貴州省で児童の人身売買を行っていた余華英(女、61歳)の死刑が執行された。
余は1993~2003年までの10年間、貴州省、重慶市、雲南省などにおいて、別の人と組んで合計17人の児童を誘拐して違法に売買した罪に問われていた。
余は2024年10月25日に一審で死刑判決を受け、判決に不服を申し立てたが、上告が棄却された。
被害者家族の一人である楊妞花(ようちゅうか)さんは中国メディアに対して、「私たちは皆、この日を待っていました」と涙を流したという。

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と、ここまでは中国官製メディアの報道である。「正義が果たされた、めでたし、めでたし」がオチである。
しかし、本当に正義は、果たされたのだろうか。
「当局は体裁を整えているだけ、今この瞬間も、どこかで誰かがさらわれている。そして当局は本気で捜査してくれない」といった指摘の声も多いのはなぜか?
闇
現代中国の恐るべき闇の部分である「子供の失踪」および「人身売買」。悪人たちは公然と街中で子供、いや子供では足らず成人であってもさらっている。
親たちは毎日毎夜、気が狂うほどの悲しみにくれ、大声を上げて泣いた。そしてわずかな手がかりでも得たいと思い、街頭で跪いて、通行人に頭を下げている。
街中で「尋ね人」の看板を掲げ、横断幕を広げて、地面に膝をつき、失踪した我が子の情報提供と捜索協力を泣きながら呼びかける親たち(とくに母親)の姿は、いまや「中国のどこにでもある光景」になっている。
しかし、その絶叫は中国共産党当局の耳には届いていそうもない。
警察は口ばかりで、本気で対応しようとしない。失踪児童の捜索に全力を上げるどころか、「子供の捜索にご協力ください」と、泣きながら街で跪く親たちを暴力的に排除し、ネットに投稿された関連コンテンツを検閲する。
中国の街を埋め尽くす監視カメラは、「交通違反の罰金とり」や「反体制派の追跡」などにはフル活用するが、なぜか行方不明者の捜索には全く活用されていないのだ。
「失踪=臓器収奪・人身売買」
「子供が失踪した!」、関連投稿に寄せられたコメントのなかで印象的、そして衝撃的なものは、これだ。
「失踪したその子は、誰かの体内で生きているだろう」
「(中国)共産党幹部の病床を回ってみるといい。何か霊魂のようなものの存在を感じるかもしれない」
中国の「臓器狩り」が、国家ぐるみで産業化されていることは、いまや紛れもない事実である。
子供が路上でさらわれたり、車の中に無理やり押し込まれて拉致されたり、学生を尾行してドラッグを嗅がせて、気絶したところを連れ去ったり、といった実際の「人さらい」現場を捉えた監視カメラ映像は、中国SNSでも多く出回っていることもあり、「迷子=失踪=さらわれた=臓器収奪・人身売買」とイヤでも連想してしまう人は多い。
中国共産党はその意図に沿わない情報をことごとく抹殺しているが、それでも、見聞きなどから、気づきはじめている中国人も増えている。
それはつまり、悪の根源である中国共産党が存在する限り、失踪・人身売買・臓器狩り問題は解決しないということだ。
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