「卒業即失業」 中国で新卒・大卒生 1222万人が就職難に直面

2025/03/14 更新: 2025/03/14

今年、中国では1222万人の卒業生が社会に出る見込みだ。中共は雇用の安定を図るため、再び一連の雇用政策を打ち出したが、専門家によると、その効果は限られている。

中国経済は依然として低迷しており、多くの卒業生が「卒業即失業」という厳しい現実に直面している。

3月9日、中共人力資源社会保障部の王曉萍部長は、全国人民代表大会と全国政治協商会議(両会)の民生テーマ記者会見で次のように述べた。「今年の新卒者、大学の卒業生は1222万人に達し、脱貧困人口や出稼ぎ労働者の規模を3千万人以上維持する必要がある。また、多くの農村から都市への移動労働力も安定した雇用を実現する必要があり、雇用総量の圧力は依然として高く、構造的矛盾がさらに顕著になっている」

同時に、外部環境はますます複雑で厳しくなり、雇用に影響を与える可能性がある。

米国の経済学者 黄大衛氏は次のように述べている。
「全体的な経済情勢は下向きの圧力を受け、雇用の80%以上を担う民間企業は厳しい状況に直面している。さらに、米中間で新たな貿易戦争が勃発する可能性があり、これが民間経済全体の発展に大きな影響を与えるだろう。国有経済は現在『国進民退』の傾向が進行中で、全体的な雇用状況は確実に悪化すると見込まれている」

中共教育部の統計によると、2024年には中国の大学の卒業生数が1179万人に達し、過去最高を記録する見込みだ。

黄氏は次のように述べている。「新たに1千万人以上の大学卒業生が加わることで、競争が一層激化し、過剰競争が進む恐れがある。この2年間、中国経済はほとんど成長を見せず、特に民間経済は縮小を続けている。このような状況下で、全ての人々を完全雇用することは基本的に不可能だ」

中国の著名なオンライン求人プラットフォーム「智聯招聘」の報告によれば、2024年の中国大学卒業生の就職率は前年の57.6%から55.5%に低下し、約半数が失業していることを示している。

黄氏はさらに次のように述べている。
「根本的な問題は中国経済そのものにある。この10年間、失業率が高止まりしているのは、中国経済の構造に起因している。まず、民間経済の活力が低下し続け『国進民退』によって民間企業の生存空間が圧迫されている。しかし、民間企業は約80%以上の雇用問題を解決する役割を担っている。この点において矛盾が生じている」

昨年の就職市場は、すべての卒業生を吸収しきれず、今年は去年よりさらに43万人が増加することで、中国の若者の就職状況は一層深刻化している。

黄氏は「若者の失業率上昇は消費能力の低下や社会全体への将来不安を示し、内需を抑制する。また、外資系企業や投資家にも中国市場への展望に影響を与え、教育資源や人材の浪費と流出を招くだろう」と述べている。

オーストラリア在住の歴史学者、李元華氏は「失業者の増加は社会の不安定要因だ。もし当局が問題を解決できなければ、社会動乱が起こり、民衆の不満が噴出し、中国社会全体が動揺し不安定な状態に陥り、中共政権も危機に直面するだろう」と警告している。

大学の卒業生問題に対処するため、中共人力資源社会保障部は「三支一扶」や「西部計画」などの基層プロジェクトの人数を拡大する新たな支援政策を打ち出すと宣言した。

「三支一扶」とは、大学卒業後に農村の基層で教育支援、農村支援、医療支援、貧困扶助に従事することを意味する。しかし、専門家たちはこれらの政策の効果が非常に限られていると考えている。

黃氏は「毎年1千万人以上の大学卒業生が増加しているが、対応できるのはほんの一握りだ。どれだけ基層プロジェクトの人数を拡大しても、根本的な解決には至らない」と述べている。

李氏は「これらの政策で解決できる人数には限界がある。また、基層の資金不足も深刻だ。現地では既存の給与支払いすら困難で、新たな大学卒業生の採用費用を捻出することは不可能だ。これらの政策は実際には焼け石に水だ」と指摘している。

専門家たちは、中国の就職問題は本質的には社会保障の問題であると指摘している。しかし、中共政府の政策は未だ根本的な解決策には至っておらず、多くの場合、象徴的な政治パフォーマンスに終わっていると批判されている。

関連特集: 中国