中国財政部が新たに公表した2026年1月から4月までの財政収支データによると、全国の財政収入は表面的には増加を維持しているものの、内訳を見ると主要指標の多くで顕著な「二極化」が見られる。株式市場の取引活況が印紙税収入を押し上げる一方、不動産は引き続き地方財政の重荷となり、企業収益も明確な改善は見られない。加えて、地方政府の債務圧力は一段と強まっている。
2026年1〜4月の全国一般公共予算収入は8兆3400億元(約180兆円)で、前年同期比3.5%増であった。全国一般公共予算支出は9兆4800億元(約205兆円)で、同1.3%増となった。このうち中央財政収入は前年同期比4.6%増と、地方財政の2.7%増を上回り、地方財政の負担が中央よりも重い状況が続いていることを示している。
また、中国の公式経済データの信頼性については、外部からの疑問が引き続き指摘されている。不動産市場の低迷と地方債務圧力の拡大という背景の下、一部の経済的圧力が公式データに十分反映されていない可能性もある。
株式市場活況と印紙税の急増
税収面では、1〜4月の全国税収は6兆8097億元(約147兆円)で、前年同期比3.9%増となった。中でも注目されるのが証券取引印紙税である。収入は935億元(約2兆円)に達し、前年同期比74.8%増と大幅に伸びた。これにより印紙税全体も27.8%増となり、中国本土の株式市場の取引が活発化していることがうかがえる。
また、個人所得税は6031億元(約13兆円)で、前年同期比12.2%増と二桁の伸びを記録した。
年初以降、政府の市場安定化政策を背景に、A株市場の取引量は明らかに拡大している。特に5月以降は、半導体、AI、計算能力関連などのハイテク株が過熱し、資金がテックセクターに集中したことで取引量の増加を招いている。
中国人民銀行が発表した「2026年4月金融統計データ報告」によると、4月単独では全国の住民預金が1兆9400億元(約42兆円)減少し、前年同月より約5500億元多く減少した。一方で、証券、基金、理財商品など非銀行系金融機関への預金は2兆4700億元(約53兆円)増加し、前年同月より約9000億元多く増加した。
これは、一部の個人資金が銀行預金から株式市場や基金などの資本市場へ移動していることを示している。
しかし、財経ブロガー「忐忑的可樂餅」は、資金流入にもかかわらず株価上昇が消費回復を明確に押し上げていないと指摘する。株価指数が上昇しているにもかかわらず、実際に利益を得ている個人投資家は多くないとの見方があり、資産効果は依然として消費に十分波及していない。
不動産は底打ちせず 地方の「土地財政」に継続的圧力
株式市場の活況とは対照的に、不動産関連収入は引き続き悪化している。1〜4月の契税収入は1370億元(約3兆円)で前年同期比15.3%減、土地増値税は1522億元(約3.3兆円)で同15.6%減となり、不動産取引および開発活動の低迷が続いていることを示している。
さらに、地方政府の土地売却収入も大幅な減少が続いている。1〜4月の全国政府系基金収入は1兆200億元(約22兆円)で前年同期比18.9%減、このうち地方政府分は8717億元(約19兆円)で同22.1%減となった。
特に、地方財政の中核である国有土地使用権譲渡収入(いわゆる土地売却収入)は6801億元(約15兆円)にとどまり、前年同期比27.2%減と大幅に落ち込んだ。
中国の地方政府は長年「土地財政」に依存してきたが、不動産企業の投資縮小と土地市場の冷え込みにより、財政収入は直接的な打撃を受けている。近年は大手不動産企業の債務危機も相次ぎ、土地市場の低迷が続いている。
こうした中、財政圧力の緩和を目的として、各地で工事代金の未払い、インフラ事業の延期、財政支出の圧縮、公務員給与の削減や非正規職員の削減といった動きが広がっている。
地方債務圧力の上昇 財政支出は最低限維持へ
財政支出構造の変化も、地方財政の逼迫を反映している。支出面では、1〜4月にインフラおよび投資関連支出が全体的に縮小し、かつて経済成長を牽引してきたインフラ投資は明らかに減速している。
一方で、社会保障・雇用支出は前年同期比7.3%増、医療・保健支出は11.4%増、債務利払い支出は6.5%増となった。
これに対し、農林水支出は10.2%減、交通運輸支出は3.6%減、都市・農村コミュニティ支出は1.2%減、科学技術支出は1.8%減となり、投資関連分野の抑制が鮮明となっている。
特に債務利払い支出の増加は、地方債務問題が依然として累積していることを示すものである。
中国の地方政府はこれまで、都市投資プラットフォームを通じて大規模な借入を行い、インフラ整備や土地開発を推進してきた。しかし現在は、土地収入の減少と経済成長の鈍化により、一部地域では債務返済圧力が継続的に高まっている。
政府は預金準備率の引き下げや利下げ、流動性供給などを通じて景気刺激策を続けているが、不動産市場の低迷、個人消費の弱さ、企業マインドの低下といった問題は依然として根本的に改善されていない。
中国本土の複数の財経ブロガーは、現在の中国経済が依然として政策刺激と流動性に依存していると指摘する。不動産不況、消費低迷、地方財政の悪化といった構造的問題は、なお解消には至っていないとする見方が強い。
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