中国の不動産不況が長期化するなか、海外投資家の資産売却が加速している。米投資会社KKRと不動産運用会社AEWも最近、中国で保有する複数の商業用不動産を大幅に値下げして売却していると伝えられた。
ブルームバーグは7月、情報筋の話として、両社が中国で保有する不動産の買い手を探していると報じた。
KKRは、北京郊外の高級マンションや上海・外灘の豫園にあるオレンジ・クリスタル・ホテルなど、9件の物件を売却する方針だ。一方、AEWは北京の泓晟国際センターと京印国際センター、上海・陸家嘴の浦発銀行大厦について買い手を探している。
情報筋によると、これらの資産は取得価格の5~6割程度での売却が見込まれており、売却が成立しても、銀行融資の返済でほぼ消えるという。
米国経済学者、黄大衛氏は、大幅な値下げを受け入れてでも売却を進めていることについて、外資が利益よりも早期撤退を優先していることを示していると指摘した。
「KKRのような大手の取引価格が中国の商業用不動産市場で新たな価格基準となる。そうなれば、中国の不動産を保有する海外の政府系ファンドや保険会社、例えばシンガポールのGICやカナダの年金基金なども、財務諸表上、中国で保有する不動産資産について大幅な減損処理を迫られるだろう。同時に、売却が相次ぐことで流動性がさらに低下し、パニック的な売却を引き起こす。これまで様子を見ながら撤退を検討していた海外投資家も、売却が遅れるほど買い手が見つかりにくくなると判断する」
過去15年間、海外資本は中国のオフィスビルや商業施設、物流施設、データセンターなどに計約1400億ドルを投じてきた。
しかし、商業ビルの空室率が上昇し、賃料や資産価格も低迷している。海外投資家は買い手から売り手へと転じている。
ブラックストーンなども近年、中国の物流施設などを売却しており、KKRやAEWの動きは外資による中国不動産への投資縮小を改めて浮き彫りにした。
黄氏は、外資が売却した資産を誰が引き受けるかも重要だと指摘している。
「外資が損失を覚悟して撤退した場合、その資産を引き受けるのは、多くの場合、中国の国有企業や地方政府傘下の投資会社、資産管理会社などだ。外資側の損失が売却によって確定する一方、高い空室率と低収益に陥った資産は、中国の銀行や国有企業などが引き受けることになる。その結果、財務負担はさらに膨らみ、GDP成長率を一段と押し下げるだろう」
海外投資大手による商業用不動産からの撤退は、中国不動産市場が抱える問題の一端にすぎない。住宅市場も厳しい状況にある。
中共国家統計局によると、2026年上半期の不動産開発投資は前年同期比18%減少し、住宅投資も17.8%減った。
70の主要都市の住宅価格も、前年同月比では新築・中古とも下落傾向が続いている。
中国の不動産調査会社、中指研究院の統計では、今年1~7月に販売額が300億〜1000億元だった不動産会社はわずか6社で、2023年同期から21社減少した。中堅不動産会社の販売規模が急速に縮小しており、多くの企業が300億元を下回る水準に落ち込んでいる。
業界関係者は、多くの不動産会社が長期間にわたって土地取得を控えており、販売可能な物件が減るにつれて販売規模もさらに縮小するとみている。
台湾南華大学国際事務・経営学科の孫国祥教授は、商業用不動産と住宅市場では問題の原因は異なるが、いずれも中国不動産市場の根深い構造問題を反映していると指摘した。
「両市場に共通するのは、過度な借り入れや地方政府の土地財政への依存、人口動向への楽観的な見通し、そして『資産価格は下がらない』という前提が崩れたことだ。ただし、低迷の要因は異なる。住宅市場では、住民の所得見通しの悪化や未完成物件への懸念、人口減少、住宅在庫の増加が重しとなっている。一方、商業用不動産は、企業活動の縮小や消費低迷、ECの普及による実店舗需要の減少、オフィス需要の低下、外資の撤退などの影響を受けている」
孫氏は、「資産価格は上昇し続ける」という見方はすでに崩れており、今後は海外投資家が政策の透明性や地政学的リスク、流動性、財務状況をより重視するようになるとみている。
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