かつて人とお金が集まり、中国の豊かさを象徴してきた上海。その街から、少しずつ活気が消えている。
本紙記者の取材に応じた、不動産業界に詳しい上海市民の戴煜さん(仮名)は、かつての上海とは街の様子が大きく変わったと感じている。人であふれていた商業施設は客足が落ち、金融街・陸家嘴では高級飲食店の閉店も目立つという。
大きいのが、外資系企業の撤退や事業縮小だ。企業が去れば、そこで働く外国人駐在員や高所得の中国人、その家族も減る。住宅、子どもの学校、外食、買い物などに使われていたお金も街から消えていく。
不況は不動産にも深く及んでいる。
中国の地方政府は長年、土地の使用権を不動産会社などに売り、その収入を財政の大きな柱としてきた。しかし住宅が売れなくなれば、開発業者も土地を買わない。
今年1~7月の国有土地使用権の売却収入は前年同期比30.8%減少。2022年から4年連続で減っている。
上海では特に郊外の新築住宅が売れ残り、市は住宅購入規制の緩和や、古い住宅から新築住宅への買い替え支援などを相次いで打ち出している。
だが、その上海市自身も懐が厳しくなっている。
中国財政部の資料によると、2026年上半期、中国の31省級行政区すべてで、地方の収入だけでは支出を賄えなかった。全国の財政自給率は56.3%。長年、国内屈指の財政力を誇ってきた上海も例外ではない。
台湾・南華大学の孫国祥教授は本紙に、中国有数の豊かな都市である上海まで財政力が落ちていることは、不動産不況や企業業績の悪化による税収減が、中国全体に広がっている表れだと指摘した。
外資が去れば、雇用と消費が減る。住宅が売れなければ土地も売れず、地方政府の収入まで減る。いま上海では、それらが同時に起きている。
「上海だけは大丈夫」。中国経済が悪化しても、そう見られてきた。しかし、外資、住宅、消費、雇用が同時に冷え込むいま、中国経済の「最後の優等生」にも異変が表れている。
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