中国 国際基準を無視し続ける中共政府

中国東方航空5735便墜落事故から3年 中共政府は調査報告を公表せず

2025/03/23 更新: 2025/03/23

中国国有航空大手3社の1つである中国東方航空の5735便墜落事故から3年。

法令上(国際基準)、事故発生から1年以内に最終報告の公表ができない場合には、経過について公表するということになっている。

しかし、中国側は未だに最終調査報告どころか、調査の進展も不透明なままで、原因解明の手がかりとなるブラックボックスのデータも公表していない。

真相はいまも闇に包まれたままだ。

墜落から3年が経過した今年3月21日、墜落地点へ献花に訪れた遺族らは当局によって立ち入りを阻まれたことがわかった。

「入れないのならせめてお花だけでも供えてほしい」という人々の声もむなしく、花は警備員によって路肩に無造作に置かれた。また、撮影を試みた人々は写真の削除を強要されたこともわかった。

 

(墜落地点への市民の立ち入りが禁止された様子)

 

報告なき3年

2022年3月21日、中国南部の昆明から広州行きの中国東方航空MU5735便、ボーイング737型機が南西部の広西チワン族自治区で墜落した。乗客乗員132人全員が死亡した。

原因解明の手がかりとなるブラックボックスは事故直後に回収され、アメリカで解析されたが、中国政府はそのデータを公表しておらず、墜落原因を言及していない。

これまでの調査結果と同様、出発前の機体にも乗員や天候にも問題は見つからなかったと強調している。

当時、「操縦室の誰かが意図的に機体を急降下させた可能性がある」とする分析の声が多く上がり、米大手メディアも報じているが、中国側はこれを否定し続けている。

一方で、事故原因をめぐる中国国内の議論は徹底的に検閲されている。SNSでは「降格処分を受け不満を抱いたパイロットによる意図的な墜落」を示唆する投稿が削除され、遺族のSNSは厳しく監視され「不満を書くな、メディアの取材を受けるな」と当局から警告されていることもわかった。

 

中国東方航空MU5735便の墜落当時の写真(スクリーンショット)

 

「政治的思惑による隠蔽は許されない」

国際航空運送協会(IATA)は2月、「中国が報告を遅らせる姿勢」を非難し、同協会の最高経営責任者(CEO)であるウィリー ウォルシュ氏は、「事故から教訓を得るには、透明性のある報告が不可欠だ」「政治的思惑による事故報告の隠蔽は容認できない」と強く批判した。

 

真相はどこに?

中国共産党(中共)の隠蔽体質は世界でも有名だ。

2008年の四川大地震では手抜き工事による校舎倒壊で多くの子供たちが犠牲となったが、政府は社会からの責任追及の声を封じ込め、遺族の声を抑圧してきた。

コロナ初期対応も同様、中共政府は都合の悪い事実を隠し続けている。

今回の東航空難でも同様に、国家の体面を保つために真相が葬り去られようとしている。

隠蔽と弾圧によって封じ込められた真実は、犠牲者の無念と遺族の悲しみを一層深めている。

 

墜落事故当日、広州の空港で情報を待つ搭乗者家族、2022年3月21日、広東省広州白雲国際空港(NOEL CELIS/AFP via Getty Images)
李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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