スウェーデンの「ストックホルム国際平和研究所」が4月28日に発表した最新の報告によると、昨年の世界の軍事費は2兆7200億ドル(約390兆円)に達し、冷戦終結以来の最高額となった。中国共産党(中共)の軍事費は世界第2位、アジアでは首位を占めており、これは中共の軍事拡張の野心を示し、地域の軍拡競争を加速させている。
報告によれば、世界の軍事費は10年連続で増加しており、米国、中共、ロシア、ドイツ、インドが上位5か国を占め、世界全体の約60%を占めている。
その中で、中共の昨年の軍事費は7%増加し、3140億ドルに達し、30年連続で増加し続けており、アジア太平洋地域における軍事費の総額の半分を占めている。
中共は近年、軍事力を誇示し続け、習近平政権は2035年までに軍事の現代化を実現すると宣言している。このため、新型戦闘機や無人機への投資を続け、核兵器庫を急速に拡大し、宇宙やサイバー戦における軍事力を強化している。昨年には情報支援部隊も新設された。
中共の軍事的野心に直面し、周辺国は国防政策を見直し、軍事費を増加させている。
日本の例では、昨年の防衛費は21%増加し、553億ドルに達し、GDPの1.4%を占め、1958年以来の最高を記録した。台湾の防衛費も1.8%増加し、165億ドルに達した。
米国の昨年の軍事費支出は5.7%増加し、9970億ドルに達しており、NATO全体の軍事費の66%、世界の軍事費の37%を占めている。軍事費の多くは兵器の現代化や核兵器のアップグレードに充てられ、ロシアや中共に対する戦略的優位を維持することを目的としている。
報告書の共同執筆者であるナン・ティアン氏は、アジア太平洋地域の国々が先進的な軍事力の発展を加速させていること、未解決の領土問題や高まる地政学的緊張が周辺地域を危険な軍拡競争に陥れる恐れがあると警告している。
ヨーロッパでは、ロシア・ウクライナ戦争の影響で、ドイツの軍事費が28%増加し、885億ドルに達し、インドを抜いて世界第4位に浮上した。
アナリストによれば、世界の地域的緊張が高まる中、今後数年間は軍事費が引き続き上昇する可能性が高いと見られている。しかし、軍事費の拡大は社会保障費に影響を及ぼし、経済や社会の発展に長期的な影響をもたらす恐れがある。
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