中国越境EC 関税逃れに産地偽装 各国が規制強化で包囲網

2025/07/03 更新: 2025/07/03

アメリカの輸出規制を回避するため、中国の越境EC業者(自国から他国の顧客に対して直接商品やサービスを販売する形態)による「産地偽装」が横行しており、国際的な警戒が高まっている。かつて存在した不透明な輸出ルートも、各国の規制強化により閉ざされつつある。

中国で「原産地変更による輸出支援サービス」を提供している国際物流業者の関係者は、大紀元の取材に対し、「多くの中国のEC業者や製造業者が、高関税を避けるために商品を一度ベトナム、マレーシア、メキシコ、韓国などの第三国に送った上で、当該国の製品と装ってアメリカに輸出している」と証言した。

同氏によれば、「こうした手口は業界内ではもはや公然の秘密だが、ここ数か月で状況は変わりつつある。各国政府が監視を強化しており、以前のように簡単には通用しなくなってきている」という。

実際、韓国関税庁は今年5月、2024年1〜3月期に原産地表示違反で総額約295億ウォン(約33億円)相当の輸入品を摘発したと発表した。その大多数は中国製で、ほぼすべてがアメリカへの再輸出を目的としていたという。

ベトナム商工省も4月、国内の貿易協会や輸出業者、製造業者に対して、原材料および中間財の原産地証明の審査を強化し、虚偽証明の防止を徹底するよう要請した。さらに、タイの外務貿易局も先月、アメリカ向け輸出品に対する原産地検証を厳格化し、関税逃れを防ぐ方針を打ち出している。

アメリカ司法省もまた、小型機械や電子機器、玩具などを対象に、虚偽申告や原産地偽装を重点的に取り締まる姿勢を鮮明にしており、摘発体制を強化している。

経済評論家のチャン・クアン氏は、「米中貿易戦争の初期には中国国内で強い反米感情が広がったが、現在は沈静化している」と指摘。その背景として、「経済の減速により経営難に直面しているEC業者が、アメリカ市場で活路を見出そうと便宜的な方法に頼る一方で、こうした状況を招いた中国共産党への国民の不満は徐々に積み重なっている」と分析している

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