パナマ CKハチソンの港湾運営権契約の無効求め提訴

2025/07/31 更新: 2025/07/31

パナマの最高会計検査官アネル・フロレス氏は7月30日、香港の大手CKハチソン傘下の子会社が保有する、パナマ運河の両端に位置する港湾の運営権契約について、無効を求める訴訟を2件、最高裁判所に起こした。

対象となっているのは、太平洋側のバルボア港と大西洋側のクリストバル港の経営権。フロレス氏は「違憲であり、国家利益に反する契約だ」として契約の取り消しを求めている。

CKハチソンは現地のパナマ港湾会社(Panama Ports Company)の株式90%を保有。1997年に運営権を取得し、2021年にはさらに25年間の契約延長を結んでいた。

パナマ会計検査院は2025年1月から同社の監査を行っており、フロレス氏は「数か月の調査で多数の不適切な点が判明した」として提訴に踏み切った。詳細な監査報告書は未公表で、最終的に港湾を監督する海事当局に提出する予定だ。訴訟はまだ最高裁に受理されていない。

この契約問題が、イタリアの海運大手MSC(アポンテ一族)とアメリカ投資会社ブラックロックによる、CKハチソンの世界港湾事業買収計画に影響を与えるかどうかは現時点で不明。この計画には今回の2港も含まれている。

複数の大国が関心を寄せている。中国共産党の国有港湾運営会社である中国遠洋海運(COSCO)も、港湾事業を買収するコンソーシアムへの参加を検討しているという。

フロレス氏は、数十億ドル規模の取引が大国主導で進む中、主権国家であるパナマが蚊帳の外に置かれている。この状況は容認できない。国家の主権と利益を守るために行動した」と語った。

曾子衡
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