米軍事施設を無許可空撮 カナダ国籍の華人男性強制送還へ

2025/08/29 更新: 2025/08/29

米フロリダ州の裁判所は、ケープカナベラル宇宙軍基地(CCSFS)の防衛施設を無許可でドローン撮影したとして起訴されたカナダ国籍の華人男性に対し、12か月の保護観察処分を言い渡し、直ちにカナダへ送還するよう命じた。

パン被告は今年1月、フロリダ州中部地区連邦地裁で、カナベラル宇宙軍基地(CCSFS)において防衛施設や装備をドローンで撮影した3件の罪で起訴されていた。その後、6月18日付の法廷文書で3件すべての罪状について有罪を認めた。米軍基地や機密施設周辺でのドローン目撃に対する懸念が高まる中での有罪判決となった。

カナダ・ブランプトンの芸術団体「Brampton Arts Organization」が公開したプロフィールでは、パン被告は1953年に中国で生まれ、2001年にカナダへ移住し、2003年からブランプトンに定住。カナダ・ベストバイ(家電量販店)で18年間勤務し、2022年に退職したとされる。

パン被告が署名した裁判資料によると、パンは1月5~7日にかけてカナベラル宇宙軍基地で約250枚の写真と動画を撮影した。同基地には発射施設や米海軍の潜水艦ドックがあり、アメリカの宇宙打ち上げ能力を支える拠点となっている。米連邦法では防衛施設や装備の無許可撮影を禁止している。

NASAは1月7日、同基地周辺でドローンの活動を検知し、地元当局に通報。地元当局が現場を確認したところ、パン被告が中国DJI社製の「Mavic 3 Pro」を駐車場から操縦しているのを発見した。その後の調査で、パン被告の機材には軍事施設を写した243枚の写真と13本の動画を保存していたことが判明した。

法文書には「パン被告はCCSFSの写真や動画を撮影する許可を一切求めず、また受けてもいなかった」と記されている。撮影していたのは発射施設やペイロード処理施設、ミッションコントロール、配電インフラ、警備検問所、燃料・弾薬庫などだった。

米連邦捜査官による取り調べに対し、パン被告は「自然の美しさや日の出、クルーズ港を撮影するためにドローンを飛ばした。軍事施設の近くにいることは知らなかった」と説明。「操縦中にドローンから警告や注意表示は一切なかった」と主張したが、その後の機材解析で、実際には高度や空域の違反を知らせるメッセージが送られていたことが判明した。

米国土安全保障調査局、空軍特別捜査局、連邦捜査局(FBI)など複数の治安・情報機関が捜査に当たった。

米移民税関執行局(ICE)に対し、パン被告の送還手続きについてコメントを求めたが、報道時点までに回答は得られていない。

 

2024年からカナダ大紀元の記者を務めている
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