北京で9月3日に行われる軍事パレードに先立ち、中国共産党は「上海協力機構(SCO)サミット」を開催した。関係者によると、(中国共産党)中共当局は外交と軍事の両面から複数の権威主義国家を結束させ、アメリカ主導の国際秩序に対抗する姿勢を示そうとしたとみられる。しかし、中共にとって不都合なことに、西側の主要国が軍事パレードをそろって欠席した上、サミットに出席したインド首相とトルコ大統領も同パレードへの出席を見送った。こうした状況は、中共の外交における苦境を浮き彫りにしている。
上海協力機構サミットは、8月31日から9月1日にかけて天津で開催された。中共は「過去最大規模」と強調したが、参加国の中心は西側諸国と対立や緊張関係にある、または国際社会で孤立し制裁を受けている権威主義国家で、ロシア、イラン、北朝鮮などが含まれていた。
大紀元のコラムニスト、王赫氏は「中共は今回、上海協力機構サミットと軍事パレードを通じて、実際にロシアやイラン、北朝鮮の指導者を招いた。外部、特に西側諸国の視点からは、こうした顔ぶれの結集は強い警戒の対象となっている」と発言した。
台湾国防安全研究院の国防戦略・資源研究所長、蘇紫雲氏は次のように述べている。「4月にトランプ氏が関税問題を提起して以降、アメリカと従来の同盟国との間には摩擦が生じた。こうした状況を背景に、中共は上海協力機構サミットの日程や議題を調整し、9月3日の軍事力誇示の場と結びつけることで、新たな国際的枢軸の形成を図ったのだ」
中共は9月3日に北京で軍事パレードを行うが、西側の主要国はそろって欠席。さらに、サミットに参加したインドの首相とトルコの大統領も、パレードには出席しないと明らかにした。
また、王赫氏は「インドやトルコはサミットには参加するものの、軍事パレードへの出席を避けることで、自らの複雑な政治的立場を示している」と述べた。
分析によると、中共はサミットと軍事パレードを通じて、自身が「孤立していない」ことをアピールする意図があるとみられる。しかし、招待国の構成や西側諸国の見方からすると、中共の国際的立場はむしろ厳しさを増している状況だ。
蘇紫雲氏は「中共の戦略的な動きは、当然、相手国の対立や矛盾を利用して自国の利益に変えることだ。しかし、それは同時にプーチン、金正恩、習近平の三者を結びつける結果にもなる。これにより西側の民主国家はより強い警戒感を感じるため、中共への対抗措置が強まると考えられる」と発言した。
台湾国防安全研究院の研究員、沈明室博士は「私たちは、多くの中央アジア諸国や、イラン、モンゴルの指導者たちが軍事パレードに引き続き参加しているのを目にしている。もちろん、彼らには中共に期待するものがあるため、参加を続けているのだ。確かに、9月3日の軍事パレードの指導者の数は多く見える。しかし、その多くは発展途上国や権威主義国家であり、結果としてパレードのイメージは、かえって西側の民主国家に対してより強い警戒心を抱かせるものとなっている」と述べた。
今回の中共による軍事パレードの費用は、外部の推算で約360億元(約7500億円)に上る見込みだ。現在、中国経済は下落傾向が続き、不動産バブルの崩壊や企業倒産の急増、外資の流出、失業率の高止まりなど、深刻な問題に直面している。
こうした状況下で中共が巨額の費用を投じて軍事パレードを実施することに、国内では不満が高まっている。最近では、重慶大学城(大学などが集合した場所)で「中共の暴政打倒」を訴える大型投影が複数登場するなど、国際的にも注目を集めている。
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