トランプ大統領 アルゼンチンに中国共産党との軍事協力回避を警告

2025/10/15 更新: 2025/10/15

10月14日、ホワイトハウスでミレー大統領と会談したトランプ大統領は、中国共産党に対して明確な警告を発した。トランプ大統領は「アルゼンチンは中国と貿易を行うことは問題ないが、絶対に貿易以外の関係を発展させるべきではない」と述べ、特に軍事協力に踏み込むような動きがあれば「非常に不快に思う」と警告した。

この日の会談では、両首脳が冒頭発言を行った後、記者団からの質問に応じたが、回答したのはトランプ大統領のみであり、ミレー大統領は発言を控えた。アルゼンチンと中国の関係について問われた際、トランプ氏はミレー氏の目の前で「私は、あなた方が中国と過度に関わるべきではないと考える。一定の貿易は構わないが、それを超える関係を築くべきではない。特に軍事分野で中国と協力することはあってはならない。もしそのような動きが進行しているなら、私は非常に不快に思うだろう」と述べた。

これに関連し、スコット・ベッセント米財務長官は、米国によるアルゼンチンへの金融支援(200億ドル規模の通貨スワップ枠)は、中国との通貨スワップ取りやめを条件とするものではないと強調した。ベッセント氏は「そのような報道は誤りだ」と述べ、米側の主要な懸念は「港湾、軍事基地、観測施設」に集中していると説明した。これらの指摘は主に、中国共産党がアルゼンチン南部パタゴニア地域に建設した宇宙観測センターを念頭に置いたものとみられる。

宇宙観測センターを巡る懸念

2012年、当時のアルゼンチン左派政権は、中国に対し、パタゴニアのネウケン州(Neuquén)で約2平方キロメートルの宇宙基地を建設し、50年間運営する権利を与えた。ミレー氏の前任であるアルベルト・フェルナンデス前大統領(Alberto Fernández)は、この施設をめぐり北京との共同宇宙探査に関する合弁協定を更新していた。

近年、米政府は中国共産党がこの宇宙基地内部で軍事的活動を密かに行っている可能性について繰り返し警告しており、バイデン政権もミレー政権に対して同施設の検証を要請していた。しかし、昨年現地政府がどの程度の調査を実施したかは依然として明らかになっていない。

先週末には、中国共産党の在アルゼンチン大使館が米国を名指しで非難し、米国がラテンアメリカ諸国を「いじめ」、さらに「冷戦時代の発想」を押し付けていると批判する声明を発表した。

一方、トランプ大統領の発言直後、アルゼンチンのパトリシア・ブルリッチ安全保障相(Patricia Bullrich)は、今回の会談で宇宙観測施設をめぐる具体的な議論は行われなかったと否定した。ブルリッチ氏は「これまでにも施設の検査は行われており、現在も継続している。政府はこの問題に積極的に対応しているが、きょう新たな進展はなかった。詳細な議論は行われなかった」と述べた。

さらに記者団とのやり取りの中で、トランプ大統領は「中国がアメリカの農家ではなくアルゼンチンから大豆を購入することは、米・アルゼンチン関係を分断する意図的行為ではないか」との質問を受け、「その通りだと思う」と答えた。そのうえで「それは当然のことだ。中国(中国共産党)という組織のやり方として自然な流れだが、最終的に実質的な影響はないだろう」と語った。

今回の会談は、アルゼンチンが重要な中間選挙を控える中で行われたものであり、トランプ大統領はミレー大統領への支持を明確に示した。トランプ大統領は「ミレー陣営は選挙に勝利するだろう」と述べ、その場で「全面的支持」を表明した。「彼は国民に認められる素晴らしい仕事をしている」と評価した。

さらに、アメリカの金融支援がミレー氏の政党の選挙勝利を後押しする意図があるのではないかとの質問には、「そうではない」と否定し、「支援の本来の目的は、アルゼンチンが健全な財政運営の理念を確立し、過去20年に及ぶ経済的混乱から立ち直ることを支援する点にある」と述べた。

陳霆