トランプ米大統領 李在明大統領から最高勲章を授与

2025/10/29 更新: 2025/10/29

トランプ米大統領は29日、韓国・慶州で開催されたAPECビジネスリーダーサミットでの演説後、韓国の李在明大統領との首脳会談に臨んだ。両首脳は貿易、防衛費分担、核エネルギー協力、朝鮮半島情勢など幅広い議題について協議をした。

李大統領が最高勲章を授与

会談に先立ち、李氏はトランプ氏に対し、韓国で最高勲章とされる「無窮花大勲章」を授与し、トランプ氏を「平和の推進者」とたたえた。また、新羅時代の文化財である金冠の複製品を贈呈した。これに対しトランプ氏は「すぐにでも身につけたい」と笑顔で応じた。

贈呈式の後、李氏はトランプ氏を慶州国立博物館に案内した。慶州は「金の都」として知られ、新羅王国時代の遺跡が数多く残るユネスコ世界遺産の地である。

ワーキングランチでは、前菜としてサウザンアイランドドレッシングが用意された。韓国大統領府によると、これはトランプ氏の故郷である米・ニューヨークでの成功に敬意を表したものだという。

焦点は3500億ドルの投資協議

トランプ大統領はサミットで、米韓は間もなく関税削減を含む貿易協定の詳細で合意できるとの見方を示したものの、両国の交渉担当者は、韓国側が打ち出した総額3500億ドル規模の対米投資の条件をめぐり対立している。

トランプ氏は韓国に対し、提示している投資額を全額、現金または株式で事前に支払うよう求めた。これに対し韓国政府は、これほど大規模な現金支出は金融市場の安定を損なう可能性があるとして難色を示し、今回の会談で初期合意に達するのは困難だとの見方を示した。

防衛費と原子力協力

防衛分担では、トランプ氏が韓国に対し在韓米軍の駐留費負担の大幅増額を求めている。米側の要求額は、韓国が2026年に予定している支出(約10.6億ドル)の10倍近くにのぼるとされる。

原子力分野では、韓国は使用済み核燃料の再処理やウラン濃縮を民生利用に限って認めるよう、アメリカとの原子力協定の改定を求めている。

北朝鮮問題とビザ課題

朝鮮半島情勢も重要議題であり、李在明氏は北朝鮮の対話復帰を最優先課題と位置づけている。李氏は、トランプ氏が金正恩と直接交渉できる「適任者」だとの認識を示している。北朝鮮側はかつて「トランプ氏との会談は良い思い出だ」と表明したが、現時点で対話再開には応じていない。

また、韓国企業がアメリカに建設する工場で働く韓国人労働者のビザ発給の円滑化も協議されている。これは最近、米自動車工場で300人以上の韓国人労働者が拘束されたことを受けて韓国側が解決を求めているが、具体的な進展は見られていない。

陳霆
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