進歩派のマムダニ氏がNY市長選で勝利 州知事選など複数の選挙でも民主党候補が勝利 

2025/11/05 更新: 2025/11/05

政府閉鎖や民主党内の市長選挙対決、物議を醸した選挙区再編問題などが取り上げられる中、今回行われたいくつかの選挙戦では「青い州(民主党支持の強い州)」が勝利した。

その中でも最大のニュースは、比較的新人で進歩派の民主党員ゾーラン・マムダニ氏がニューヨーク市長選で過去の州知事、アンドリュー・クオモ氏(無所属で出馬した民主党員)を破り、市長の座を獲得したことである。

以下は2025年の選挙日の結果概要。

民主党が主要選挙で大勝

バージニア州とニュージャージー州の知事選では、それぞれアビゲイル・スパンバーガー氏とマイキー・シェリル氏が二桁の大差で勝利した。

共和党は当日早くから敗北を予想していた。マイク・ジョンソン下院議長(ルイジアナ州選出)は「民主党や急進派がいくつかの選挙で勝っても驚きではない」と語っている。

トミー・タバービル上院議員(アラバマ州選出)も、「これらは基本的に青い州であり、トランプ大統領の評価を問う国民投票ではない」と述べた。

世論調査会社サスケハナ・ポーリング・アンド・リサーチ社長のジェームズ・リー氏によると、民主党が有利と見られていたとはいえ、今回の勝利幅は大きい。「10ポイント以上の差がつけば圧勝だ」と同氏は語った。

インディアナ大学政治学部長のアーロン・ドゥッソ氏は「バージニアとニュージャージーで民主党が勝つのは予想通り。驚くことではない」と述べた。ドゥッソ氏は、選挙結果は現職大統領への有権者の態度に大きく左右されると指摘し、トランプ大統領の支持率が数週間にわたり40%台半ばで推移していると付け加えた。

物価と生活費への懸念

物価上昇が続き、インフレが根強く残るなか、多くの有権者が生活費や州税の負担増に不満を表明した。

マムダニ氏は、自らを「民主的社会主義者」と称し、ニューヨーク市長選では「生活の負担軽減」と「物価高対策」を中心に掲げた。

バージニア州でも、有権者の多くが生活費の高さを最大の懸念として挙げた。

民主党支持者のオータム・ローソン氏は「バージニアの過剰課税をやめてほしい」と語り、食料品や車への高税率を問題視。「同じものに二度課税されているようだ」と述べた。

ニューヨーク市では過去最高の投票率

ニューヨーク市では市長選の投票率が歴史的水準に達し、マムダニ氏は50%以上の得票で勝利した。

投票所が閉まる数時間前、ニューヨーク選挙管理委員会はSNS上で「投票数が175万を超えた」と発表。これは1993年以来の最高水準だった。最終的に午後9時の締切直前には200万票を超え、1969年以来の記録となった。

各州で投票・銃規制などの住民投票が可決

複数の州では、投票制度や銃規制、選挙区再編に関する住民投票が行われた。
テキサス州では、親が子供の養育・教育方針を決定する権利を州憲法に明記した「提案15号」を可決した。また、非市民による投票を禁止する提案も承認された。

一方、メーン州では有権者IDの提示義務化案は否決されたが、家庭や警察が「他者または本人に危険を及ぼす恐れがある」と判断した場合、裁判所が一時的に銃所持を禁じることを認める「質問2」を可決した。

コロラド州では、一部の住民の税控除上限を引き下げ、全児童向け学校給食支援プログラムの財源とする案を承認した。

政府閉鎖、まもなく解除か

選挙終了を受け、共和党指導部は政府閉鎖が近日中に終結するとの見通しを示した。ジョン・スーン上院院内総務(共和党:サウスダコタ州選出)は「今週中に終わらせたい」と語った。

民主党は「国民に手頃な医療を保障するための闘い」だと主張する一方、共和党は「トランプ政権への反対を演出するための政治的行動だ」と批判している。

政治アナリストのヘンリー・オルセン氏は、「民主党はすでにトランプへの反発で浮動票を動員する必要がなくなった」と述べ、閉鎖解除に前向きな見方を示した。

カリフォルニア州の選挙区再編が2026年選挙に影響

カリフォルニア州では、2026年選挙に向け民主党寄りの選挙区再編を一時的に実施する「提案50号」を可決した。これにより、民主党が最大5議席を増やす可能性がある。

一方、オハイオ、ノースカロライナ、ミズーリ、テキサスの4州では共和党主導の再編が行われ、次回選挙で計9議席が共和党側に有利になるとみられている。

オルセン氏は「現職大統領の支持率が中間年選挙の最重要要因だ」としつつも、「提案50号は民主党に大きな追い風となる可能性がある」と述べた。

経済状況が現状のまま推移すれば、民主党は全体としていくらか議席を失うとしても中間選挙で善戦できると見られる。「15議席は上積みできるだろう。再編で5議席失っても、まだ10議席分の勝ちが残る」とドゥッソ氏は分析した。

(ジョセフ・ロード、ジャクソン・リッチマン、アルジュン・シン、ネイサン・ウースター各記者が寄稿)

エポック・タイムズで国家政治、航空宇宙、航空業界を担当する記者である。以前は「サラソタ・ヘラルド・トリビューン」でスポーツ、地域政治、速報ニュースを担当していた。
エポックタイムズの政治記者
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