トランプ大統領「外国人留学生は米大学にとって価値ある存在」

2025/11/11 更新: 2025/11/11

トランプ米大統領はアメリカの大学の財政と教育力強化のため、外国人留学生受け入れ縮小に否定的な姿勢を示している。

トランプ大統領は11月10日、米FOXニュースの番組に出演し、外国人学生がアメリカで学ぶことは「良いこと」であると述べた。大統領は、外国人留学生の受け入れ規模を縮小する考えはないとし、その理由として「削減すればアメリカの大学の財政に打撃を与える」と説明した。

トランプ大統領は番組内で次のように語った。
「我々の国に来る外国人学生を半分に減らすなどということはできない。そんなことをすれば、アメリカの大学やカレッジの制度全体を破壊してしまう。私はそうしたくない。外国人学生を受け入れるのは良いことだと考えている。私は世界各国と良い関係を保ちたい」

番組の司会者ローラ・イングラハム氏は、大統領に対し「なぜ外国人学生、特に中国人学生の数を減らさないのか」と繰り返し問いただした。イングラハム氏は、外国人学生の受け入れを減らす政策はトランプ支持者の間で人気が高く、アメリカ人学生が大学に入りやすくなると主張した。

これに対しトランプ大統領は、「外国人学生の削減はアメリカの大学の財政を圧迫し、一部の学校、特に歴史ある黒人大学(HBCU)は閉鎖に追い込まれる可能性がある」と述べた。

「確かに中国からの学生は多い。昔から中国や他の国々から多くの学生が来ており、我々には大規模な大学・カレッジのシステムがある。もし外国人学生を半分に減らしたら、一部の人は喜ぶかもしれないが、アメリカの大学の半分が閉鎖することになる」と語った。

また大統領は次のように付け加えた。「アメリカの教育機関は留学生によって数兆ドル(約数百兆円)規模の収益を上げている。ほとんどの外国人学生は、アメリカ人学生よりも2倍以上の学費を支払っている。私はアメリカの教育システムが成長を続けることを望んでいる。これは単なる理想ではなく、教育を一つのビジネスとして見る考えに基づいている」

トランプ政権の最新の方針によると、大学による国際学生の受け入れを引き続き認める一方で、ビザの期限を超えて滞在する者、違法行為や「テロ支援」に関与した疑いのある者、反米・反イスラエル活動を行う者、さらにはスパイ行為に関与する可能性のある外国人学生の受け入れには反対している。

アメリカ政府による学生ビザ制限強化の背景

留学生をめぐる論争の背景には、イスラエルとパレスチナの衝突をきっかけに、各大学で「反イスラエル」「反米」の抗議活動が発生したことがある。ハーバード大学など一部の大学は、「違法・危険・暴力的行為」に関与したとする外国人学生の情報提供を拒否した。また近年、中国人留学生や研究者が中国共産党(中共)によるスパイ活動に関与した疑いが相次いで報道され、政府が学生ビザの審査を厳格化する要因となった。

アメリカ移民・税関執行局(ICE)は今年3月、コロンビア大学で反イスラエル抗議デモを行った学生を逮捕し、大学がそうした行為を容認していると非難した。さらにアメリカ国務省は5月、世界各地のアメリカ大使館に学生ビザ面接の一時停止を命じ、審査を強化した。特に申請者のSNS上での発信内容を精査する姿勢を明確にした。

同月、アメリカ政府はハーバード大学による国際学生の受け入れを一時停止し、新規の学生ビザ申請の予約も中断した。トランプ大統領は6月、「政府はハーバード大学と中共の関係を調査し、国家安全保障を確保したうえで留学政策を再開する」と述べた。

今年8月、アメリカ国務省は6千件を超えるF、J、Mビザを取り消したと発表した。理由は、滞在期限超過、違法行為、または「テロ支援」などである。

ハーバード大学はこのビザ制限措置に対して訴訟を提起し、裁判所は一時的に禁止措置を差し止めたが、アメリカ政府は上訴している。

アメリカ政府は現在、「高等教育卓越学術協力計画(Compact for Academic Excellence in Higher Education)」を発表しており、大学との協定を通じて外国人学生の割合を削減する一方で、連邦資金を優先的に受け取る機会を大学に提供する方針である。この計画では、学部生のうち学生ビザを持つ外国人の割合を全体の15%以下に抑え、単一の国からの学生は5%以下に制限することを求めている。

中国人留学生の動向と最新データ

国際教育研究所(Institute of International Education)のデータによると、中国は長年にわたりアメリカに最大の留学生送り出している国の一つであり、アメリカ国内の外国人留学生の約4人に1人は中国出身である。

国際学生データベース「Open Doors」によると、中国は15年間連続でアメリカへの留学生数が最多の国であったが、昨年インドにその座を譲った。中国人留学生の数は2019~20学年度に約37万2千人でピークに達したが、2023~24学年度には約27万人にまで減少した。この減少は、新型コロナウイルスの影響に加えて、米中関係の緊張が高まっていることを反映している。

曾子衡