プーチン氏「和平案は将来の合意基礎に」

2025/11/28 更新: 2025/11/28

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は11月27日、米国が支援する和平案がウクライナ戦争を終結させるための基礎になり得ると述べた。

米国と欧州のパートナー諸国が膠着状態を打開するため、それぞれ平行して和平枠組みを進めていることから、ウクライナとロシアの対立緩和に向けた動きがここ数週間で活発化している。

キルギス訪問中の記者会見でプーチン大統領は、この案について「真剣な協議」を行う用意があるとし、来週には米国代表団がモスクワを訪れる予定であると述べた。

「概ね、これが将来の合意の基礎になり得ることに我々は同意している」と、プーチン氏はベラルーシ、カザフスタン、タジキスタン首脳との集団安全保障条約機構(CSTO:Collective Security Treaty Organization)首脳会議後に語った。

この発言は、米国とウクライナの数日間にわたる集中的外交を経て、プーチン氏が和平構想に初めて公に反応したものである。

ホワイトハウスは先週、28項目の和平案を策定していると発表した。

この草案では、ウクライナに対し大幅な領土譲歩を求め、軍備の上限を設定し、NATO加盟の追求を放棄するよう求めている。さらに、ロシアへの制裁緩和、凍結されたロシア資産のウクライナ復興への転用、そしてウクライナや他の欧州諸国への攻撃を控えるとの誓約が含まれている。

11月23日にジュネーブで行われた協議の翌日、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、マルコ・ルビオ米国務長官率いる米国代表団とウクライナ当局者が、当初の28項目から提案内容を削減することで合意したと明らかにした。

両国は草案の進展を強調しており、ゼレンスキー氏はSNSで、修正後の案について「正しいアプローチである」と述べた。「我々全員で文書を最終化するためにまだ作業が残っている。品位をもってすべてをやり遂げなければならない」と、11月24日のX(旧Twitter)投稿で述べた。

プーチン氏は新しい草案文書がモスクワに届けられたことを明らかにした。

「彼らは28項目全体を4つの別々の要素に分ける方針でまとまった」とプーチン大統領は述べた。彼はまた、この提案を「外交的言語」に修正する必要があると指摘し、ロシアが欧州を攻撃しないとする条項などは笑止であると切り捨てた。ロシアには欧州征服の意図はないと述べつつも、欧州安全保障に関する広範な議論に応じる用意があると示唆した。

プーチン氏は、ウクライナ軍が現在保持している領土から撤退すれば戦闘は止むであろうと述べた。

2022年2月にウクライナ戦争が勃発して以来、西側諸国はロシア中央銀行の資産約3,000億ドルを凍結しており、その大部分は欧州にある。
欧州連合(EU)と米国は、凍結を超えて没収に踏み切り、その資金をウクライナの防衛や復興に充てるべきかを繰り返し議論してきた。支持派は、それがウクライナにとって巨大な金融的命綱になると主張する一方、反対派は国家免除(sovereign immunity:主権国家は、原則として他国の裁判権に服さないという慣習国際法上の原則)を損ない、国際市場を不安定化させ、ロシア報復を招く恐れがあると警告している。

プーチン氏は、資産没収は世界金融システムにとって悪影響をもたらすと述べた。「もちろん、深刻な結果を招くだろう。ユーロ圏への信頼は劇的に低下する」とプーチン氏は報道陣に語った。

ロシア政府は現在、資産没収が行われた場合に備えた対応策を策定中であるとした。

期限の発表はなし

トランプ米大統領は、ウクライナ戦争の終結を主要な外交政策目標として掲げているが、いずれの国にも合意期限を設定していない。「私にとっての期限は、それが終わる時だ」と、トランプは11月25日に専用機エアフォース・ワンの機上で記者団に語った。「ロシアの方が人口も兵士数もはるかに多い。もしウクライナが合意できるなら、それは良いことだ。双方にとって良いことだと思う。率直に言えば、双方にとって素晴らしいことだ」

その後、トランプは同日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に投稿し、「和平案に関して、残された相違点はわずかだ」と述べた。
「この戦争を終結させるための合意が最終段階に入るか、あるいは最終化された時にのみ、ゼレンスキー大統領とプーチン大統領に会うことを期待している」と記した。

アンドリュー・モランは10年以上にわたり、ビジネス、経済、金融について執筆。「The War on Cash.」の著者。
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