中共の脅威を念頭に 台湾が約6兆円投じて「台湾の盾」構築へ

2025/12/01 更新: 2025/12/01

台湾海峡の緊張が高まる中、台湾の頼清徳総統は26日、国家安全保障高官会議を開き、「民主主義台湾を守る安全保障アクションプラン」を発表した。総額400億米ドル(約6兆円)を投じ、高度な防空システム「台湾の盾」を構築する方針を示した。

頼総統は先月26日の記者会見で「民主主義は挑発ではなく、台湾の存在は侵略の口実にならない」と強調。そのうえで、中共が「2027年までに武力統一を達成する」との見通しに触れ、米国からの兵器調達を含む非対称戦力の強化を急ぐ考えを示した。

台湾は防衛力と産業発展を両立させる戦略も描く。頼総統は、台湾が持つ半導体、ICT、AIなどの産業基盤を挙げ、「精密機械など基幹産業の力を合わせれば、防衛・軍需産業で世界的な役割を担える」と述べた。防衛産業の発展は「国内産業の高度化にもつながる」との考えだ。

経済部は今後、ドローン、無人船、航空宇宙、艦艇、ロボット犬、衛星の六分野を重点領域として、生産体制を拡充する方針を示した。

顧立雄国防部長によれば、特別予算は軍事購入、商業購入、国産開発の三本立て。米国との軍事調達計画は「すでに予備調整を終えている」と説明した。

米トランプ政権で安全保障担当補佐官を務めたロバート・オブライエン氏も、「頼総統の判断は完全に正しい」と支持を表明した。

台湾の国防安全研究院の沈明室研究員は、2026年度の国防予算が9495億ドル(約4.8兆円)に拡大する方向を指摘し、「中共の2027年武力行使の可能性を見据え、防衛体制を総合的に強化している」と分析した。

台湾立法委員の王定宇氏は、中共軍の軍事予算が8兆元(約176兆円)に達していることに言及し、「台湾は第一列島線の最前線に位置する。脅威があれば防衛は当然だ」と述べた。

24日には、林佳龍外交部長が、日本・フィリピンと接する台湾の地理的特性を踏まえ、「台湾海峡で有事が起きれば第一列島線全体に影響する」と警告した。

近年、中共の軍事的台頭を受け、日本や韓国、豪州、ニュージーランド、フィリピンなどインド太平洋の民主主義国家は防衛費の増額を進めている。

米国在台湾協会(AIT)のカレン・リャン副処長は、米国内への台湾サイエンスパーク設立を支持すると表明。「台湾企業の米国進出を後押しし、世界のサプライチェーンにおける台湾の重要性が増す」と述べた。

米海軍のダリル・コードル海軍作戦部長は19日、グアムで将兵に向け、「最近『2027年』が語られるが、私は『27分以内に』準備してほしい」と訴えた。従来の作戦様式は「中共のような同等の競争相手には通用しない」として、米軍と同盟国の軍事力を統合する「統合の優位性」の重要性を強調した。

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