【独占】パテル長官が語る FBI今年の成果と重要案件の最新動向

2025/12/05 更新: 2025/12/05

アメリカ連邦捜査局(FBI)のカシュ・パテル長官は11月26日、エポックタイムズ(英語大紀元)のインタビューに応じ、FBIが今年挙げた成果を重点的に紹介した。スパイ網の摘発、行方不明児童の救出、殺人率の数十年ぶりの低水準への引き下げ、焼却用の袋に入れられていた数千点の政府機密文書の回収など多角的な治安改善の進展を明らかにした。

インタビューでは、パテル氏が就任後最初の10か月を振り返り、これまでの方針や今後の見通し、目標について語った。また、麻薬カルテルやその他の犯罪組織への取り締まりを含む主要案件の最新状況についても説明した。

今回のインタビューは、番組「アメリカ思想リーダーズ」のホスト、ヤン・エキレック氏が行ったもので、EpochTVで視聴できる。

パテル長官は11月26日、英語大紀元のシニアエディター兼「アメリカ思想リーダーズ」番組ホストであるヤン・ジェキエク氏の単独インタビューに応じた (Samira Bouaou/The Epoch Times)

 

1. 解任報道への反応

パテル氏は、トランプ米大統領が自身の解任を検討しているとする最近の報道は事実でないと否定した。

「大統領と私は、全国の法執行活動についてチームや司法長官、関係閣僚らと協議している最中に、私が解任されるという報道が出ていると知らされた。奇妙に感じた」

同氏は、こうした報道はこの10か月間にFBIが上げた成果から注意をそらすものだと指摘した。

「私たちは、大統領が掲げる方針を歴史的な成果とともに着実に実行していると考えている。メディアが匿名の情報源をもとに報道を重ねれば重ねるほど、われわれの取り組みがこれまで以上に効果を発揮している証拠でもある」と述べた。

2. コミー元FBI長官の訴追棄却について

パテル氏は、11月24日にサウスカロライナ州連邦地裁のキャメロン・カリー判事が、ジェームズ・コミー元FBI長官に対する訴追を棄却した判断についても言及し、今後さらに情報が明らかになると述べた。

「感謝祭後に注目していてください。複数の対応が公表されるはずだ」

ジェームズ・コミー元FBI長官(Samira Bouaou/The Epoch Times

コミー氏は2020年、上院司法委員会での証言で議会に虚偽の説明をした疑いで訴追されていた。しかし今回の棄却により、今後の法的手続きは不透明となっている。すでに時効が成立しているほか、カリー判事はバージニア東地区のリンジー・ハリガン判事の「任命が無効」であるとして起訴状を無効と判断したためだ。

3. 殺人発生率が近代史で最低に

パテル氏はFBIがまもなく発表する報告書について、全米の殺人発生率が25%低下し、数十年ぶりの低水準に達したことが示されていると明らかにした。

パテル氏は「ようやく発表できるのはうれしい。今年の大きな目標の一つは、全米の殺人率を下げることだった」と語り、「FBIとして、12月に公表する最新の殺人率は、現代史で最も低い水準となり、2桁台の減少となる」と述べた。

アメリカの著名な保守活動家、チャーリー・カーク氏が殺害された。写真は2025年9月20日、アリゾナ州フェニックスにあるターニングポイント・アメリカ本部前(姜琳達/大紀元)
 

司法省が8月に公表したデータによると、2024年の殺人発生率は人口10万人当たり5件で、前年から15.8%減少した。2015年と比べると約1%高い水準に当たる。

統計では、2024年の全米の殺人件数は約1万7000件で、前年から約15%減少したが、2015年比では約7%増加している。

4.「764ネットワーク」摘発で逮捕が急増

FBIは今年、子どもへの加害で悪名高い「764ネットワーク」を重点的に取り締まった。同組織はテキサス州の市外局番に由来して名付けられたもので、創設者は連邦刑務所で禁錮80年の判決を受けた。

パテル氏は率直に「これは本来、毎日トップニュースになるべき重大事です。子どもの保護は我々にとって最優先事項の一つだからだ」と語った。

同氏によると、FBIは同組織をきわめて緊急性の高い脅威とみなし、動物虐待や児童への犯罪に関与していたとして摘発を急いだという。

「今年はオンライン上の加害者から子どもを守るために大規模な取り組みを進めてきましたが、彼らは最悪の部類です」と同氏は述べた。

「この忌まわしい集団、犯罪者たちに対して徹底的に取り組んでおり、安全なオンライン環境を確保するまで、我々は決して手を緩めません」

さらに同氏は、FBIが今年これまでに行方不明となっていた子ども6000人の保護に寄与し、前年から25%増となったことも明らかにした。

4.「764ネットワーク」摘発で逮捕が急増

FBIは今年、児童への加害で悪名高い「764ネットワーク」を重点的に摘発した。この名称は、組織が結成されたテキサス州の市外局番に由来するもので、創設者は連邦刑務所で禁錮80年の判決を受けている。

「本来であれば毎日トップニュースになるべき重大な事案だ。子どもを守ることは我々にとって最優先課題の一つだからだ」とパテル氏は語った。

同氏によると、同組織は動物虐待や児童への犯罪に関与しており、FBIは緊急性の高い脅威とみなして摘発を進めたという。

「今年、我々は この忌まわしい犯罪集団を徹底的に追及してきた。安全なオンライン環境を確保するまで手を緩めない」

さらにFBIは、今年これまでに行方不明となっていた子ども6000人の保護に寄与し、前年から25%増加したことも明らかにした。

5. アンティファに関連する資金の追跡

トランプ氏は9月にアンティファを国内テロ組織に指定した大統領令に署名した。

「これはトランプ大統領による、まさに見事な一手である。というのも、この措置によって、我々が外国のテロ組織に対して用いている一連の手段を使用できるようになるからだ」とパテル氏は述べた。

同氏は、情報収集能力と作戦能力の強化により、より包括的な調査が可能になり、資金的なつながりの特定も進んだと説明した。また、テロリズムへの物質的支援の疑いで約二十人が逮捕されていることにも言及した。

「我々は彼らをテロ組織そのものとして扱い、資金の流れを追っている」と同氏は語った。

「財務省のパートナーと協力しながら、我々は資金の流れを追跡し、ネットワーク全体を把握している。そして、大統領から与えられた権限のもとで、彼らをテロ組織として扱っている」

今後数か月で、さらなる更新が見込まれているという。

パテル氏は「新年を迎える頃には、非常に正当な訴追や捜査がいくつも明らかになるだろう」と述べた。

2023年3月10日、カリフォルニア州サクラメントでアンティファがメディア関係者を襲撃した(John Fredricks/The Epoch Times)

 

6. フェンタニル密輸網の摘発が進展

パテル氏によると、大統領と政権はフェンタニル密輸網の解体を最優先事項として掲げており、今年は着実な進展があったという。すでに13種類の前駆体化学物質と、致死性オピオイドの製造に使われる7種類の化学物質の流通が遮断された。

供給ルートが断たれたことで、麻薬組織は代替手段を求めて右往左往している。我々はその動きを把握している。彼らがどこにいて、誰で、どうやって活動しているか、すべて掌握している」と同氏は述べた。

さらにパテル氏は、米側が中国共産党当局と合意に至り、関税の一部減免を条件に前駆体化学物質の輸出制限を求めたことを明らかにした。「もし彼らがこの合意に違反すれば、大統領が関税その他の面で厳しい措置を取ることは明らかだ」と強調した。

「我々は政府一体となって、この合意を順守させるために取り組んでいる。もし彼らが従わなければ、我々が真っ先にそれを指摘することになる」

ニューヨーク市では毎年3000人以上がオピオイドの過剰摂取で亡くなっており、フェンタニルが主な死因となっている(施萍/大紀元)
 

 

7. スパイ活動の摘発が40%増加

パテル氏は、アメリカが国内の違法な外国情報活動の根絶に注力した結果、スパイ容疑での逮捕件数が40パーセント増加したと述べた。

 「我々は実際の行動で彼らを打ち崩している。ネットワークから排除し、法に基づいて起訴し、刑務所に送っている」と同氏は語った。

同氏は、関与した者の中には中国、ロシア、イラン出身者もおり、政府機関や軍内部にまで浸透していた事例もあったと明かした。

ミシガン大学の研究者が、生物病原体を米国へ密輸しようとした罪で11月に有罪を認めた事件も含まれている。

パテル氏は「こうした事例こそ、単に事件を立件するだけでは得られない、実際に成果として現れているものだ」と述べた。

捜査の過程で、FBIは中共国家安全部江蘇省局の要員・徐延軍(左)と連絡を取り合っていた季超群(右)に注目した。これをきっかけに、航空・エンジン関連技術を狙ったスパイ活動への関与が疑われる季超群の事件が本格的に捜査されることになった(大紀元合成)

8. 批判への対応

パテル氏は、恋人でカントリー歌手のアレクシス・ウィルキンス氏を保護するために取られた警備措置が不適切だとする最近の報道を強く否定した。

同氏は「パートナーが常に命の脅威にさらされているという事実について、機関のトップが説明を求められること自体、異常で不快だ」と述べた。

「私たちは、他の機関の長がパートナーを守るのと同じ対応をしているだけだ」

さらに同氏は、警護に関する判断はすべてFBIの専門職員がリスク評価に基づいて独立して行っており、自身は関与していないと強調した。

一部からは、パテル氏がFBIの専用機を過度に使用しているとの批判もあるが、同氏は完全に否定し、政府高官の安全を守るために法律で定められた措置だと説明した。

パテル氏は「専用機の利用は前任2人よりも少ない。強調しておくが、私はそもそも民間機を利用する選択肢がない」と述べた。

FBI長官は、安全な通信ができる政府専用機を、公私を問わずすべての移動に使用することが義務づけられている。ただし、私用や政治目的の移動については、その費用を政府に返還しなければならない。

パテル氏は、前任のFBI長官らがレーガン・ナショナル空港を利用していた際、1回につき最大7000ドルもの負担が納税者に生じていたと指摘し、自身が支出削減のために改革を進めた結果、年間で約400万ドルの節約につながっていると述べた。

9.「焼却袋室」で発見された資料の公開について

パテル氏は、7月にロシア疑惑(いわゆるロシアゲート)に関連する数千点の文書が廃棄予定として保管されていた部屋が見つかった件について、近く内容が公開されるだろうと述べた。

「その部屋で見つけたものは、調査、公判、あるいは議会による公開など、何らかの形で全て明らかになるだろう」と同氏は述べた。

同氏は、連邦政府では重要資料が隠蔽されることが珍しくないと指摘した。

「アメリカ政府や機関が、何かを消し去り、埋もれさせ、隠そうとする場合、その方法は心得ている」とパテル氏は述べた。

「だが彼らが想定していなかったのは、トランプ大統領の勝利だった」

ロシア疑惑、いわゆる「ロシアゲート」に関連する一部文書、アークティック・フロスト作戦やクロスファイア・ハリケーン作戦などはいまだに一般には公開されていない。クロスファイア・ハリケーン関連文書については、2021年1月と同年3月にトランプ大統領が2度にわたり機密解除を指示している。

「ロシアゲートで起きた腐敗、スキャンダル、違法行為について米国民が知り得たのは、私が始めた取り組みのおかげだ」とパテル氏は述べた。

「これは、ワシントンD.C.の既存権力層が、自分たちが気に入らない政党の勝利を望まなかったという理由だけで、その政党を狙い撃ちにし、アメリカの法執行機関を政治利用し、武器化した、類を見ない重大な出来事です」。

「アメリカ国民は、このような事態が二度と起きないよう、関係者の責任を追及するとともに、制度を改革する権利があります」。

エポックタイムズのシニアエディター。EPOCH TVの番組「米国思想リーダー」のパーソナリティーを務める。アカデミア、メディア、国際人権活動など幅広いキャリアを持つ。2009年にエポックタイムズに入社してからは、ウェブサイトの編集長をはじめ、さまざまな役職を歴任。ホロコーストサヴァイバーを追ったドキュメンタリー作品『Finding Manny』 では、プロデューサーとしての受賞歴もある。
カリフォルニアを拠点とする熱心な読書家であり、ジャーナリズムである。大紀元の金融、政治、州議会、そして速報ニュースを担当している。