米大学 中国など敵対国出身留学生の受け入れ制限か

2025/12/09 更新: 2025/12/09

米紙「パデュー大学学生新聞」(The Purdue Exponent)は、パデュー大学の教務長が各学部に対し、共産党統治下の中国を含む「敵対国」出身の大学院志願者を受け入れないよう求めていたと報じた。

同紙によると、同大学の教育学博士課程に在籍し、大学院生の権利を扱う団体GROWのブラントリー・マコード副会長は、大学関係者から、大学院の学科長に「危険国」とされる国のリストが配布されたと知らされたという。リストには中国、北朝鮮、ロシア、イラン、キューバ、ベネズエラが含まれている。

マコード氏は「教務部長は、大学院の学科長がこれらの国の出身者を受け入れようとした場合、合格通知への署名を行わず、入学や勤務を認めないと明言した」と明かした。

理学部の教員で大学院入試委員会のメンバーも匿名を条件に取材に応じ、大学院入学センターから『敵対国』出身の志願者は選考対象としないよう指示を受けたと証言した。工学部にも同様の通達があったという。

またマコード氏によると、この夏、少なくとも100人(大半が中国出身)の大学院合格者に対し、理由の説明がないまま合格取り消しを通知する書簡が送られた。

大学が敵対国出身者の受け入れを制限する理由

「パデュー大学学生新聞」によると、パデュー大学はアメリカ有数の留学生受け入れ校で、留学生は学部生の1割、大学院・専門職課程の4割を占める。

しかし同大学の公開データでは、今年の留学生入学者数は2004年以降で最低となり、新入生全体の5%にとどまった。

「パデュー大学学生新聞」は、今年3月、米下院対中国共産党(中共)特別委員会が蒋濛学長に書簡を送付した後、大学側が国際学生政策を静かに見直し始めたと報じている。

書簡では、国家安全保障への不安が高まっており、とくに中国をめぐる問題が大きくなっていると指摘している。

「外国人留学生に頼りすぎること、特に『敵対国』とされる国からの学生に依存することには深刻な懸念がある。アメリカ人材の機会が奪われるおそれや、技術流出、そしてアメリカの長期的な技術力や経済の安全にも影響する可能性がある」

さらに書簡では、アメリカの学生ビザ制度を「中国のトロイの木馬」と表現し、大学に対し中国人留学生の情報提供を求めた。

ウルフ教務部長はこれに対しデータを提出し、「パデュー大学は常にアメリカ国民の利益を最優先し、国家安全保障の維持と、アメリカ人学生への重要分野の教育提供に尽力している」と回答した。

同委員会から書簡を受け取った大学には、パデュー大学のほか、スタンフォード大学、カーネギーメロン大学、イリノイ大学、メリーランド大学、南カリフォルニア大学が含まれる。同委員会は9月19日、これら6大学を対象にした調査結果をまとめた報告書を公表した。報告書は、中共の「国防七校」で学んだ学生がアメリカの大学院に在籍している事例や、アメリカの税金が中国人留学生の支援に使われている実態などを指摘した。

中国人留学生が直面する苦境 背景に中共の野心

習近平はアメリカに対抗し、世界秩序を作り替える「中国夢」構想を掲げており、米中は構造的な対立関係に入っている。多くの中国人留学生は、その板挟みとなっている。

中国共産党(中共)はアメリカの審査強化について「アメリカが開放性や自由の原則を守っていない」と批判している。しかし、この主張は、アメリカに先端技術を悪意あるライバルに開放する義務はないという事実を無視している。

評論家の藍述氏は以前、大紀元に対し、中国人留学生がアメリカで困難に直面している最大の理由は、中共が世界で覇権を目指しているためだと語った。

同氏によると、アメリカや欧米諸国は2000年代初頭に中共がWTOに加盟した際、「中国で中産階級が増えれば政治改革が進むのではないか」という期待を抱いていた。しかしその後20年間で中国のGDPは10倍に増えたものの、中共の国際的影響力が拡大し、自由社会への脅威が強まった。

藍述氏は、多くの中国人留学生がアメリカで最先端の技術を学んでも、自由や民主主義といった価値観を受け入れないまま帰国し、その技術を中共の軍需企業に提供しているケースが少なくないと指摘する。

代表例が「軍民融合」政策で、この計画は中共中央軍事委員会の「軍民融合委員会」が統括し、委員長は習近平だ。こうした状況から、西側諸国は警戒を強めざるを得なくなっているという。

張婷
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