イラク油田再開 原油2%安 米ガソリンも5年ぶり安値

2025/12/09 更新: 2025/12/09

国際原油価格は12月8日に約2%下落し、1日の下落幅としては過去3週間で最大を記録した。主な要因は、イラク西部の大型油田が生産を再開したことで、世界的な供給過剰に対する市場の懸念が高まったためである。

原油相場の軟調を受け、アメリカ国内のガソリン平均価格も下落し、1ガロンあたり2.90ドルを割り込み、2021年5月2日以来の安値水準に達した。

8日、ブレント原油先物価格は1.98%下落し、1バレルあたり62.49ドルで取引された。米国ウェストテキサス・インターミディエート(WTI)原油価格は2%下落し、1バレルあたり58.88ドルとなった。

原油価格が2%下落した背景は?

価格急落の直接的な原因は、イラクのウェスト・クルナ2(West Qurna 2)油田が生産を再開したことである。同油田の日量生産は約46万バレルで、世界供給の約0.5%を占める。同油田はこの前、外部パイプラインからの油漏れのため閉鎖されていた。2人のイラク・エネルギー省当局者がロイター通信に対し、油田は通常の輸出を再開したことを認めた。

供給増加に加え、投資家はウクライナ和平交渉の進展も注視している。ANZ銀行のアナリストは、トランプ大統領による停戦に向けた最新の動きが、日量200万バレルを超える石油供給の変動をもたらす可能性があると指摘した。近い将来に協議がまとまれば、ロシアからの石油輸出が増加し、原油価格への下方圧力となる恐れがある。

国際市場に加え、アメリカ国内のガソリン価格もすでに過去5年で最低の水準まで低下している。

GasBuddyのデータによると、12月8日現在、全米のレギュラーガソリンの平均価格は1ガロンあたり2.897ドルで、1680日ぶりの低水準を記録した。

GasBuddyの石油分析責任者パトリック・デハーン(Patrick De Haan)氏は、ガソリン価格の下落は主に世界的な原油安のトレンド、製油所のメンテナンス完了に伴う増産、季節的な需要低下などの要因が関連していると述べた。デハーン氏は、現在全米で「数十のガソリンスタンド」が1ガロン2ドル未満でガソリンを販売しており、「ホリデーシーズンが本格化するにつれ、この数は増加するだろう」と述べた。

供給過剰懸念と国際市場の動向

国際エネルギー機関(IEA)はすでに、来年は過去最大の供給過剰が生じると予測している。

オランダの金融大手INGグループの商品戦略責任者ウォーレン・パターソン(Warren Patterson)氏は、「石油市場の供給過剰は2026年にさらに拡大すると予想する。供給は需要を日量約200万バレル上回るだろう」と述べた。

INGは、ロシア産原油の供給がアメリカ制裁の影響を受けないという仮定の下、ブレント原油の通年平均価格は1バレルあたり約57ドルになると予想している。

トレーダーは需給バランスを見極めるため、今週発表予定のいくつかの重要報告書を注視している。アメリカエネルギー情報局(EIA)の『短期エネルギー見通し』(Short-Term Energy Outlook)は9日に発表する予定で、国際エネルギー機関(IEA)と石油輸出国機構(OPEC)の見通しレポートも今週後半に発表される予定である。

陳霆
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