木原官房長官は12月10日午前の定例会見で、英国政府が現地時間12月9日に発表した、国家支援型サイバー攻撃に関与した主体を特定し公表する「パブリック・アトリビューション(公開非難)」について、日本政府としてこれを支持する考えを表明した。
英国による中国企業への制裁
英国政府は現地時間12月9日、国家支援型サイバー攻撃に関与したとして、中国の民間企業2社を対象とするパブリック・アトリビューションを実施し、これらを制裁対象とした旨を発表した。この攻撃は、各国の政府機関などへの攻撃が指摘されている。
英国政府が、脅威の主体を特定し公表するこのパブリック・アトリビューションを行う目的は、悪意あるサイバー活動を抑止することにある。
日本政府の受け止めと支持の理由
木原官房長官は、サイバー空間の安全は、我が国を含む国際社会の平和と反映を確保する上で極めて重要であるとの認識を示した。
その上で、官房長官は、悪意あるサイバー活動について、「自由、公正かつ安全なサイバー空間を維持・強化するとの観点から、看過できるものではない」と強調した。
英国政府が実施したサイバー攻撃に対する「公開非難」(パブリックアトリビューション)の内容と、関連する中国企業2社は以下の通りである。
英国政府による「公開非難」の概要
英国政府は現地時間12月9日、無謀で無差別なサイバー攻撃を行ったとして、中国に拠点を置く2つのテクノロジー企業に対し制裁を課した旨を発表した,。
英国政府は、これらの企業が悪意あるサイバー活動に関与し、英国の安全保障と繁栄を弱体化させる試みに対して断固たる措置をとったとしている。これらのサイバー攻撃は、世界中の80以上の政府機関および民間産業のITシステムを標的にし、英国の公共部門のITシステムも標的に含まれていた。
中国企業2社
制裁の対象となった中国のテクノロジー企業2社は以下の通りである。
- i-Soon (Sichuan Anxun Information Technology Co. Ltd.)
- 世界中の80以上の政府機関および民間産業のITシステムを標的とした無謀で無差別なサイバー攻撃に関与したとされる。
- 悪意あるサイバー活動の実行を計画する他の主体を支援したとされる。
- Integrity Technology Group Incorporated (Integrity Tech)
- 秘密のサイバーネットワークを管理・運営し、他の主体によるサイバー攻撃に技術的な支援を提供したとされる。
- 英国の公共部門のITシステムが標的の対象に含まれていた。
これらの企業は、情報セキュリティ会社や、データブローカー、「ハック・フォー・ハイヤー(雇われハッカー)」を含む中国のサイバー産業の一部であり、中国の諜報機関にサイバーサービスを提供しているものもある。英国の国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)は、この民間セクター主体からなる「エコシステム」(複雑なネットワーク)が、中国の国家と関連するサイバー作戦を支援していることはほぼ確実であると評価している。
この制裁措置は、悪意あるサイバー活動に対して、名指しで非難するという国際的な枠組みの中で、日本政府によっても支持された。
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