日本維新の会が描く「21世紀のインテリジェンス構想」 国家安全保障体制の抜本的改革

2026/03/04 更新: 2026/03/04

令和8年3月2日、日本維新の会は「提言 21世紀の国家安全保障とインテリジェンス構想【統括組織編】」を発表した。本提言は、戦後日本が抱え続けてきた「情報(インテリジェンス)の軽視」という悪しき伝統を打破し、激変する国際安全保障環境に適応するための抜本的な改革案を提示している。以下に、その中核となる構想を解説する。

1. 情報の欠落と危機感

国力発露の手段は「DIME(Diplomacy:外交、Intelligence:情報、Military:軍事、Economy:経済)」に集約されるが、戦後の日本は専ら外交と経済に重きを置き、情報と軍事を劣位に置いてきた。とりわけ戦後80年の歩みにおいて最も軽視されてきたのが「情報(インテリジェンス)」である。中国の台頭や、ロシア・北朝鮮を含めた大陸国家群の連携深化など、日本を取り巻く脅威が増大する中、国家の羅針盤たるインテリジェンス機能の強化は急務であると提言は警鐘を鳴らしている。

2. 統括組織の刷新:「国家情報会議」と「国家情報局」の創設 

提言の目玉は、インテリジェンス・コミュニティを強力に束ねる統括組織の創設である。

  • 国家情報会議(NIC)の創設:現在の法的な設置根拠を持たない「内閣情報会議」を発展的解消し、内閣総理大臣を議長とする閣僚級の会議として「国家情報会議」を法定化する。これにより、強力な政治的リーダーシップの下で政府統一的なインテリジェンス活動の方針決定が可能となる。
  • 国家情報局・国家情報局長の創設:内閣情報調査室を格上げし、国家安全保障局と同格の「国家情報局」を内閣官房に新設する。現在の内閣情報調査室が持つ権限は「連絡調整」にとどまっており、各情報機関を統合する力がないことが弱点であったが、国家情報局には強力な「総合調整権」が付与される。
  • 総理への情報アクセス権付与:情報の集約を制度的に担保するため、内閣総理大臣に対して各個別機関への「情報アクセス権」および「情報要求権」を付与する。

3. 「対外情報庁」の新設と人材育成

長年、日本における最大の欠陥とされてきたのが、ヒューミント(人的情報)を主体とする独立した対外情報機関の不在である。提言では、既存の組織を発展的に解消し、諜報・防諜・非公然活動の3機能を有する「対外情報庁」を創設することを打ち出している。 また、これに伴い、政府全体で情報要員(インテリジェンス・オフィサー)を組織的に養成するための「省庁横断的な情報要員養成機関」の創設も求めている。情報要員には高い専門性が求められるため、一般の国家公務員とは別建ての「情報要員俸給表」(仮称)を新設するなど、手厚い処遇を行うべきだとしている。

4. 法整備と民主的統制の強化

インテリジェンス活動を裏付ける法整備と、それに対する監督機能の強化も不可欠である。

  • 情報活動基本法の制定:国家としてのインテリジェンス活動の範囲や権限を明確にするための基本法を制定する。
  • 防諜法規と秘密管理の強化:外国勢力の諜報活動から国民の生命・財産や産業を守るため、不足している防諜機能を徹底的に点検し、「防諜法」(仮称)の制定に向けた検討を加速する。
  • 外国代理人登録法およびロビー活動公開法の制定:日本国内で外国勢力の利益を代表して活動するエージェントや、ロビー活動を透明化するため、これらの一対の法律を制定する。
  • 監督機関の強化:強大な権限を持つインテリジェンス機関には、国会による民主的統制が必須である。衆参両院の「情報監視審査会」の権限を強化し、政府のインテリジェンス活動全般を監督できるようにする。

まとめ

日本維新の会は、「自立した国家」として日米同盟を支え、世界の安全保障に貢献するためには、リアリズムと国際標準に基づいたインテリジェンス体制の構築が必要不可欠であると主張している。政府に対し、この提言を踏まえて有識者会議を設置し、「令和9年度末までに独立した対外情報庁(仮称)を創設する」といった具体的な施策を早急に具現化するよう求めている。

大紀元エポックタイムズジャパンの速報記者。主に軍事・防衛、安全保障関係を担当。その他、政治・経済・社会など幅広く執筆。
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