12月17日、FBIは米国全土でスポーツ賭博の人気が高まり続ける中、それに伴うリスクに警鐘を鳴らした。同局は、39の州とコロンビア特別区が何らかの形でスポーツ賭博を合法化していると指摘しつつも、「違法なブックメーカーや違法オンラインゲーミングサイト」がいまだに蔓延していると述べた。
FBIは、全米ギャンブル協会(American Gambling Association)のデータを引用し、アメリカ人が毎年、違法または無規制の市場を通じて約6,736億ドル(約100兆円)を投じているとした。
水曜日に発表された公報の中で、FBIは「違法ギャンブルに関与する個人は、組織犯罪活動に資金を提供するリスクを負い、暴力、恐喝、詐欺の被害に遭いやすくなる」と述べ、同局が「組織犯罪や違法ギャンブル運営」の摘発に取り組んでいることを付け加えた。
また、他国で運営されている一部のギャンブルサイトは、アメリカ人を標的にした広告を出し、自国の所在を隠蔽しようとしているという。これらのオフショア(国外)サイトは、米国内の認可されたブックメーカーのような法的規制に従っていないと同局は付け加えた。
さらに、これらの組織犯罪グループが得たギャンブルの利益は、人身売買、麻薬密輸、武器密輸などの活動資金になり得ると同局は述べている。
消費者へのリスクと刑事罰
「無規制のブックメーカーやオフショアのギャンブルウェブサイトは、米国の消費者が資金や収益を失うリスクにさらすものである」とFBIは警告した。
「違法な賭博は、その収益の不法な性質から、脱税やマネーロンダリングといった他の犯罪活動に賭博者を導く可能性もある。認可され規制されたブックメーカーでプレーすることは、各賭博者の責任である」。
1か月以上前には、マイアミ・ヒートのガード、テリー・ロジアーを含む現役・元NBA選手やコーチら複数の著名人が、違法なスポーツ賭博やマネーロンダリングのスキームで起訴されたと検察当局が発表している。
司法省(DOJ)によると、10月下旬には元NBAスターでポートランド・トレイルブレイザーズのコーチであるチャンシー・ビラップスも、違法なポーカーゲームを不正に操作した疑いで起訴された。
ロジアーは今月初め、通信詐欺とマネーロンダリング共謀の罪について無罪を主張した。この事件の背景には、2023年3月の試合で「自身のスタッツ(得点やアシスト数などの成績)」に関わる賭けにおいて、友人を勝たせるために便宜を図ったという疑いがある。
一方、ビラップスも先月、別の容疑について無罪を主張した。こちらはマフィアが背後にいる高額ポーカーゲームで、イカサマ(八百長)を仕組んだとされる組織的な犯罪計画への関与である。
競技の完全性への懸念
メジャーリーグベースボール(MLB)では、クリーブランド・ガーディアンズの投手であるエマニュエル・クラセとルイス・オルティスが11月に逮捕されたと司法省が発表した。両名は、MLBの試合で自らが投じた一球ごとに賭けを行った疑いを持たれている。
12月17日に発表されたNBCニュースの世論調査によると、アメリカ人の70%が、スポーツ賭博の台頭が試合の誠実性(インテグリティ)を損なっている、あるいは試合の八百長を引き起こす可能性があると考えている。
NBAのアダム・シルバー・コミッショナーは12月16日、リーグはこの問題を深刻に受け止めているとし、「もしこのゲームが誠実であると見なされず、競技が公平で最高の誠実性を持って行われていないと判断されれば、やがてファン層を失うことになるだろう」と述べた。
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