【佳音時刻】中共軍 まだ戦えるのか 将軍が続々消失

2025/12/28 更新: 2025/12/28

中国共産党(中共)軍の最上層で、前代未聞の「将軍失踪」が続いている。2025年の上将昇進式に姿を見せたのは、わずか6人。ここ1年で少なくとも16人の上将が公の場から消え、習近平が昇進させた79人の多くが一網打尽になったとの分析もある。軍部粛清は空軍にも波及しつつあり、中国軍の戦闘能力や台湾侵攻計画、さらには日中関係や今後の党大会人事に深刻な影響を及ぼす可能性を指摘している。

12月22日、中共当局は北京で上将(大将に相当)の昇進式を実施し、東部戦区司令官・楊志斌と中部戦区司令官・韓勝延の2名が上将に昇進した。しかし、注目を集めたのは、重要な儀式でありながら出席した上将がわずか4人にとどまったことである。

一部の分析によれば、他の上将はすでに全員が粛清された可能性があり、その中には習近平自身が昇進させた数十人の上将も含まれているという。

今回の儀式に出席した4人の上将は、中央軍事委員会副主席の張又侠と張升民、軍委委員の劉振立、そして国防部長の董軍である。一方、空軍司令官の常丁求や空軍政治委員の郭普校など、複数の上将は姿を見せなかった。

中共軍上将が式典から消えた――1年で16人失踪の異常事態

今回の昇進式は2025年に行われた唯一の上将昇進式であり、1年間で昇進した上将は2名に限られる。出席者4名を加えても、会場にいた上将はわずか6人にすぎなかった。

前回の昇進式は2024年末に行われ、当時はおよそ20人の上将が出席していた。すなわち、この1年で約16人の上将が何らかの理由で公の場から姿を消したことになる。

独立評論家・向陽氏はX(旧ツイッター)に投稿し、「1年足らずで16人の上将が行方不明になった。習近平の『自分で自分を斬る』やり方は驚くべきだ。戦争もないのに、これほど多くの上将が一度に失脚するのは世界の軍事史上でも前代未聞である」と皮肉った。

アメリカ在住の時事評論家・唐靖遠氏は大紀元の取材に対し、「現在、中共全軍の現役上将は6人しか残っていない。これは、習近平が就任後に昇進させた79人の上将がほぼ一網打尽にされたことを意味する」と述べた。

さらに、「これは実際には習近平派を選別的に標的とした集団壊滅型の大粛清であり、習本人が主導したとは考えにくい。もし本当に本人が指導したのであれば、それは政治的論理や常識に反し、権力集中を進める指導者が自らその基盤を破壊することなどあり得ない。まさに『自ら武功を廃する』ようなものである」と分析した。

唐氏はさらに、「中共軍の粛清は依然として進行中であり、軍の最上層のみならず、軍全体のシステムに対する全面的な粛清も終わっていない。中共の過去の慣例からすれば、邪念や汚染の一掃は長期的な過程となる」と述べた。

粛清で軍心動揺、中共軍は本当に戦えるのか

台湾・国防安全研究院の研究員・沈明室氏も大紀元の取材に対し、「現役上将の相次ぐ失脚は、中共の軍体制や戦備態勢に大きな悪影響を与える」と指摘した。上将が欠けた後、その職務は中将が代理することになるが、「代理者は正式任命ではないため、常に不安を抱えながら任務に当たる。いつ交代させられるかわからない恐れがあるため、大胆な判断を避け、無難な行動に終始する傾向が強まる」と分析した。

その結果、中共は日中間の緊張が高まっても、あるいは台湾侵攻準備を進める上でも、より保守的な姿勢へ傾く可能性があると述べた。場合によっては、2027年になっても人事が固まらず、第21回党大会における軍事配置にも影響が及ぶ可能性があるという。

独立評論家・杜政氏も、習近平が昇進させた79人の上将のうち約半数がすでに失脚しており、「国際的な笑いもの」となったと指摘。「習近平は面子を完全に失った」と述べた。さらに、「現在の中央軍事委員会では張又侠が実質的に一人独裁の状態にある。表向きは張又侠と張升民の両名が習に忠誠を誓っているように見えるが、このような権力構造では、習の軍事的権力は形骸化しており、もし両者が異心を抱けば、軍が党を指揮する、軍が習を守らないという事態にもなりかねない」と警告した。

杜氏はさらに、「現在の中共軍では軍心が揺らぎ、腐敗将官が群れを成して現れている。これはまさに紅朝末期の腐敗した光景であり、識者なら誰もが理解していることだ。習近平は自ら腐敗将官たちを昇進させ、結果として権威を喪失した。もはや挽回は不可能である」と述べた。

空軍司令官も標的に 装備調達腐敗と「空軍粛清」の行方

一方で、空軍司令官・常丁求と空軍政治委員・郭普校が取調べを受けているとの情報も流れている。政治学者・劉軍寧氏は12月11日、X上で「現任の空軍司令・常丁求上将が、軍紀委および監察委の留置面談中に急性心筋梗塞を起こして死亡した」と投稿した。

12月15日には、中共軍が空軍調達に関する腐敗問題で、公開情報提供を呼びかけた。これに対し、外部では「空軍粛清のシグナル」との見方が広がっている。

今回昇進した楊志斌と韓勝延はいずれも長年空軍に所属し、要職を歴任してきた人物である。しかし、時事評論家・李林一氏は両者の今後を悲観的に見ており、「たとえ習近平が2人を昇進させたとしても、習に対して真に忠実であるか、あるいは習が彼らを信頼しているかは不明である。空軍の粛清が進む中で、彼らが同様に失脚する可能性も排除できない」と述べた。

沈明室氏も「空軍が重用されているからといって、比較的クリーンであるとは限らない」と指摘。「実際、空軍司令官の常丁求と政治委員の郭普校がすでに問題を起こしている」と述べた。

『日経アジア』によれば、日本の防衛省防衛研究所・理論研究部長の飯田将史氏は、「中共空軍の将官の台頭は、台湾侵攻計画と密接に関係している。空軍装備は高価であり、それに伴って汚職の機会も多い。現時点での反腐敗行動は空軍への影響が比較的小さいが、今後、高層幹部が粛清される可能性を否定できない」と分析した。

一方で、「空軍の粛清が進んでも、高層部への影響は限定的」とする見方もある。香港メディア『南華早報』は、「空軍の将官は今後重用される」と報道。儀式の場で姿を見せた空軍参謀長・王剛中将と、空軍紀律検査委員会書記・史洪干中将が、空軍の軍事および政治業務を主導する可能性を示した。

他にも、空軍関係では北京衛戍区を指揮する朱軍少将、新疆軍区を掌握する文東中将の名が重用対象として挙がっている。

唐靖遠氏は、「中共空軍は苗華事件の影響を比較的受けていない」と指摘。苗華は長年にわたり海軍系統に深く関与し、中央軍事委員会政治工作部主任に就任後も主に海軍系将官を優遇したため、空軍系はむしろ脇に追いやられていたと分析した。

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