米国が中共軍事力報告を公表 2027年台湾侵攻の企図を指摘

2025/12/30 更新: 2025/12/30

米国防総省は12月23日、「2025年中共の軍事力年次報告書」を発表し、台湾海峡の情勢に改めて強い警告を発した。報告書は、中共が2027年末までに台湾への武力行使を計画していると指摘している。

一方、日中関係の緊張が続くなか、日本の政界では異例ともいえる「訪台ブーム」が起きている。来年初めまでに、約30人の国会議員が台湾を訪問した。

米国防総省の報告書では、中共は近年、資源・技術・政治力を総動員し、世界最先端の軍隊を構築しようとしていると指摘されている。

100ページにおよぶこの報告書では、台湾に関する記述が232回登場し、関心の深さがうかがえる。中共による台湾侵攻の4つの軍事シナリオとして、「戦争の閾値(しきい値)を下回る威圧行動」「統合火力攻撃行動」「統合封鎖行動」「統合上陸作戦」が挙げられている。

「戦争の閾値を下回る威圧行動」について、報告書は、中共が台湾に対してサイバー攻撃や電子攻撃、または政治・軍事・通信インフラを標的にした通常兵器による攻撃を行う可能性があると指摘している。こうした行動によって台湾社会に恐怖心理を生み出し、防衛能力への自信を損なわせ、最終的には台湾総統府を中共が定めた条件の下でいわゆる「統一」交渉に引きずり込む狙いがあるとしている。

報告書はさらに、「このような作戦の成否は、台湾のレジリエンス(抵抗力)と、中共の威圧に対抗する意志、そして米国やほかの国々からの支援に大きく左右される」と述べている。

台湾国防部の徐斯倹副部長は「現在、脅威にさらされているのは台湾だけではなく、第一列島線上、そして米国の同盟国を含む地域全体が。そのため、私たちにはインド太平洋の平和と安定を守る責任がある」と指摘した。

報告書はまた、中共が米国を「主要な軍事的競争相手」とみなし、最高レベルの軍事戦略を米国の打倒に向けていると指摘している。すでに100発を超える大陸間弾道ミサイル(ICBM)を配備している可能性があり、兵器管理交渉に応じる意志を示していないことから、米国のアジア太平洋地域での軍事的プレゼンスに大きな挑戦を投げかけているとしている。

これまで中共は、あらゆる手段を講じて米国の影響力を削ぎ、最終的には米国に取って代わり、世界最強国になることを目指してきた。昨年には「ボルト・タイフーン」など一連のサイバースパイ活動を展開し、米国の重要インフラに侵入し、米軍の作戦を妨害したとされている。

報告書によると、中共の2027年目標は、台湾との戦争で「決定的勝利」を収めることだとされている。そのため、中共軍は上陸作戦、火力攻撃、海上封鎖などの能力強化を進めており、昨年にはそれを想定した演習も実施している。

ロイター通信によると、最近、中共は100隻を超える艦艇を東アジア海域に集結させ、「これほどの規模は前例がない」と報じている。小泉進次郎防衛相は、中共の東シナ海での活動について「日本は高度に注視している」と述べ、中共軍の動きを警戒していると強調した。

「国際評価戦略センター」の上級研究員、リック・フィッシャー氏は
「中共は大規模な行動を取っている。彼らは現状を改変し、安定の柱を崩すことで米国の同盟国を威圧し、最終的には米国を屈服させようとしているのだ。今回の演習では、100隻の軍艦を東アジア沿岸に展開し、空母打撃群は日本の琉球列島中部の宮古海峡を通過し、日本の東海岸で極めて挑発的な演習を行なった。こうしたことはこれまでに例がない」と述べた。

「中共の軍事演習の真の目的は、日米両国を威嚇し、台湾防衛の妨げとなることにある。しかし、日本が保有する22〜23隻の潜水艦のうち、4〜5隻を稼働させるだけで、中共の100隻の艦艇を撃沈するのに十分な魚雷を備えている」

米国の報告書の発表を受け、木原稔官房長官は関連の質問に次のように答えた。 

木原稔官房長官は「いずれにしても、台湾をめぐる問題については、日本政府として一貫して対話による平和的解決を望んでいる。政府としては、わが国周辺の軍事動向を強い関心をもって注視し、冷静かつ断固たる姿勢で対応していく」と表明した。

頼清徳総統は「まず初めに、皆様を心から歓迎する。この重要な時期に台湾を訪れていただき、ありがとう」と感謝をの意を表した。

23日、賴清徳氏は、訪台した鈴木馨祐元法相および参議院議員らと会見し、「高市早苗首相が台湾海峡の平和および日台関係を重視していることに感謝する」と述べた。

また、「権威主義の拡張や世界的な経済・貿易情勢の変化といった挑戦に直面する中で、日台が今後も協力を一層深めていけることを強く期待している」と期待を語った。 

12月末から来年初めにかけて、約30人の国会議員が相次いで台湾を訪問した。専門家は、この出来事は中共からの圧力に屈せず、日本が台湾との協力を重視していることを示す象徴的な動きだと指摘している。

頼清徳氏は「このかけがえのない友情を大切にし、ともに力を合わせて団結すべきだ。すべての民主主義国家が連帯と協力を図ることでこそ、個別に打撃を受けることなく、私たちが大切にしている自由と民主の価値を守ることができる」と指摘sた。

日台関係が深化する中、中共は強く反発している。中共外交部は日本議員らの台湾訪問に「断固反対する」と表明し、、関連情報は中国国内のSNS上で相次いで削除されたことが確認されている。

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