米下院が可決「AI監督法案」 NVIDIAの中国AIチップ輸出2年禁止へ トランプ政権と対立

2026/01/22 更新: 2026/01/22

米下院外交委員会は1月21日、42対2という圧倒的多数で超党派法案を可決し、先端人工知能(AI)チップの輸出に対して武器販売と同様の議会監督を義務付けることを求めた。この動きは、トランプ政権による対中チップ輸出政策と対立する可能性がある。

ブルームバーグ通信が21日に報じたところによると、この「AI監督法案(AI Overwatch Act)」と呼ばれる立法は、エヌビディア(NVIDIA)が今後2年間、中国向けに「ブラックウェル(Blackwell)」チップを販売することを直接禁止する内容を含み、既存の輸出規制も法制化の対象とする方針である。

この法案はすでに下院本会議で採決に付されており、上院でも同様の法案準備が進められている。

議会とホワイトハウスの対立激化  トランプの規制緩和に反発

本法案は、トランプ大統領が先月下した対中チップ輸出規制を緩和する決定への対応として提出したものである。トランプ政権は当時、エヌビディアが中国の顧客に対して「H200プロセッサ」を販売することを承認していた。アメリカ商務省は先週、新たな規則を発表し、この決定が正式に確定した。

政権当局者はこれについて、「中国市場でAIチップを販売することは外国企業にアメリカ技術への依存を促し、それによってアメリカの技術的優位性を高めるとともに、ファーウェイ(Huawei)製品との競争を可能にするものだ」と説明している。

しかし、この方針には議会の共和・民主両党から疑問の声が上がっている。下院外交委員会の委員長であり、フロリダ州選出の共和党議員ブライアン・マスト(Brian Mast)氏は「我々はAIの軍拡競争のただ中にいることを全員が認めているのに、なぜ敵対国に何を売ろうとしているのかを知らずにすませることなどできるのか」と問いかけた。

同委員会の筆頭民主党議員グレゴリー・ミークス(Gregory Meeks)氏も「我々の国の安全保障、外交政策、そして技術的資産を売り渡してはならないという明確なメッセージを発したい」と強調した。

AI監督法案の主な内容 中国・ロシアなど敵対国への輸出阻止権限

本立法によると、政府は中国向けに先端チップを輸出する際、承認前に議会への通知が義務付けられる。下院外交委員会と上院銀行委員会は30日間の審査期間を持ち、その間に合同決議の形式で、中国共産党(中共)やロシア、イラン、北朝鮮などの敵対国への輸出許可を阻止できる権限を持つことになる。

法案ではさらに、商務省に対し「これらのチップが敵対国の軍事、情報、または監視活動に使用されないことを証明する、完全で詳細な情報」を議員に提供するよう求めている。また、「信頼できる(trusted)」アメリカのAI企業が同盟国や中立国へチップを輸出する際には、許可免除(ライセンス免除)を得られる仕組みも盛り込まれている。

各方面反応 Anthropic CEOが「核兵器並みの誤り」と支持

ホワイトハウスのAI担当責任者デイビッド・サックス(David Sacks)氏は、この法案を公に批判した。保守派の政治活動家ローラ・ルーマー(Laura Loomer)氏もソーシャルメディア「X」に投稿し、「この法案はトランプ大統領から先端AIチップ輸出の管理権限を奪うものだ」と非難した。

一方で、AI企業アンソロピック(Anthropic)の最高経営責任者ダリオ・アモデイ(Dario Amodei)氏は、中国への輸出規制強化を支持した。アモデイ氏は1月20日、スイス・ダボスで開かれた世界経済フォーラム(WEF)で「(中共に)これらの先端チップを販売するのは大きな誤りだ。そんなことは狂気の沙汰であり、まるで北朝鮮に核兵器を売るようなものだ」と述べた。

さらに、テキサス州選出の共和党議員マイケル・マコール(Michael McCaul)氏も、ソーシャルメディア上の反対意見を批判し、「そうした主張はチップ販売で利益を得る者たちによって資金提供されている」と指摘した。

技術支援団体「責任あるイノベーションを求めるアメリカ人(Americans for Responsible Innovation)」は声明で、「この法案は、中国がアメリカと同等のAI能力を開発することを遅らせることになる」と評価した。

高杉