日本の調査船名が世界の地図に 「かいれい」「よこすか」など9件の海底地形名が国際承認

2026/02/02 更新: 2026/02/02

世界の海底地形名を決定する国際会議において、日本が提案していた9件の名称が正式に承認・登録された。今回登録された名称には、日本の深海研究や大陸棚調査に長年貢献したJAMSTECの調査船「かいれい」や「よこすか」の名を冠した地形が含まれており、その科学的成果と功績が国際的に認められた形である。

国際機関による正式承認

国際水路機関(IHO)とユネスコ政府間海洋学委員会(IOC)の傘下にある「海底地形名小委員会(SCUFN)」の会議が2025年11月にインドネシアのバリ島で開催され、2026年1月23日に審議結果が公表された。この会議では世界各国から提案された131件が承認され、そのうち日本からの提案分は9件であった。なお、同小委員会の議長は、海上保安庁の小原泰彦海洋研究室長(JAMSTEC客員研究員兼務)が務めている。

JAMSTECゆかりの新たな海底地形

承認された9件のうち、JAMSTECの調査船に由来するのは以下の4つの地形である。

  • かいれい海山 (Kairei Seamount):比高2,238mの大規模な海山。
  • 西かいれい海陵 (West Kairei Hill):比高661mの海陵。
  • よこすか海陵 (Yokosuka Hill):比高939mの海陵。
  • 西よこすか海陵 (West Yokosuka Hill):比高501mの海陵。

これらの名称は、調査船「かいれい」および「よこすか」が当該海域の詳細な調査を行い、地形の全貌解明や岩石採取に貢献したことを記念して命名された。

地質学的発見:マントルが覗く「海洋コアコンプレックス」

今回命名された地形は、東京の南約2200km、沖ノ鳥島の南東約400kmに位置する「パレスベラ海盆」にある。この海域はかつてプレート運動による海底拡大が起きていた場所である。

今回承認された地形はすべて、「海洋コアコンプレックス(メガムリオン)」と呼ばれるドーム状の高まりであると考えられている。これは海底拡大に伴う大規模な断層活動によって、通常は地下深くにあるマントル物質などが海底面に露出したものであり、地球内部を直接観測できる貴重な研究対象とされている。

各船はこの科学的発見において以下の重要な役割を果たした。

  • 「かいれい」の功績:2003年のマルチビーム音響測深機による調査で正確な地形データを取得したほか、マントル物質である「かんらん岩」を採取し、これらの地形が海洋コアコンプレックスであることを物質的に確定させた。「かいれい」は2022年に退役するまで24年間にわたり深海調査に貢献した船である。
  • 「よこすか」の功績:2000年の調査により、海底の高まりの表面に特有の「畝(うね)状の構造」があることを明らかにし、複数の海洋コアコンプレックスの存在を確認する端緒を開いた。

大陸棚延長への貢献と「オールジャパン」の調査体制

今回承認された9件の名称は、すべて日本の大陸棚延長申請に貢献した調査船の名前に由来している。国連海洋法条約に基づき、日本は科学的データを用いて大陸棚の延長を申請し、約30万平方キロメートルの延長大陸棚の設定につなげたが、その裏付けとなるデータを収集したのがこれらの船舶であった。

JAMSTECの船以外にも、以下の船舶に由来する地形名が承認されている。

  • 拓洋海嶺(海上保安庁 測量船「拓洋」に由来):1990年代に当該海域の特殊地形を初めて認識した功績を持つ。
  • あせあん丸海陵新潮丸海陵南新潮丸海陵大陸棚海山(民間等の調査船「あせあん丸」「新潮丸」「大陸棚」に由来):詳細な地殻構造探査を実施した。

今回承認された名称は「IHO/IOC海底地形名集」に登録され、世界中の海図、地図、学術論文などで公式に使用されることとなる。これにより、日本の海洋調査船が果たした科学的貢献と、日本の海洋調査の歴史が、国際的な地名として永く残ることになる。

大紀元エポックタイムズジャパンの速報記者。主に軍事・防衛、安全保障関係を担当。その他、政治・経済・社会など幅広く執筆。
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