中国における競業避止条項の濫用が経済を破滅させている

2026/02/05 更新: 2026/02/05

見過ごされがちだが、競業避止義務条項(NCC)の不適切な運用は経済活動を深刻に抑制し得る。競業避止条項とは、在職中または退職・取引終了後に、自社と競合する事業や行為(転職・起業)を一定期間制限する契約だ。経済活動をの抑制効果は中国の事例がそれを示している。

かつては熟練労働者や企業幹部の知的財産を守る限定的な手段だった条項が、中国では労働市場を縛る足かせとなった。NCCは労働移動を阻害し、起業を抑え、失業を拡大させている。他国はこの状況を回避するべきである。

2025年7月時点で中国の若年失業率は17.8%に達し、米国のほぼ2倍となった。オンライン求人プラットフォームの智聯招聘が2023年にまとめた報告書をワシントン・ポストが引用し、中国の大学卒業生の多くは「学歴は就職活動における最低条件にすぎず、優位性ではない」と指摘している。China Admissionsなどのプラットフォームは、大学卒業後に就職するには修士号取得を勧めている。

しかし、中国の雇用市場における真のボトルネックは構造的なものである。経験者も新規採用者も、革新ではなく企業統制を目的とするNCCによって排除されている。

例えば、中国のNCCは最長2年間有効であり、その間、従業員は競合企業で働くことや競合事業を立ち上げることを禁じられる。従業員が2年以内にNCCに抵触しない新たな職を見つけられない場合、企業はその期間、月給の30%を支払えばよい。

一方で、NCCの制限内容が極めて曖昧なため、多くの有償労働を事実上不可能にし、難解な法的文言によって労働者が職業変更を行うだけで不当に処罰される事例が多数存在する。この結果、低技能労働者や中堅労働者が排除され、十分な報酬を得られず、経済により有意義に貢献する機会を失っている。

もともと経営幹部の営業秘密を守る目的だった中国のNCCは、現在では機密情報にほとんどアクセスできない一般労働者まで日常的に対象としている。あらゆる雇用階層に適用されることで、労働者を職業に縛り付け、移動を制限し、消費支出を抑制するなど社会に損害を与えている。

上級幹部や高度技能労働者にとっては合理的な条項となり得る一方で、中国のNCCは軽微な理由でも元従業員の行動を妨げる訴訟を可能にすることで、事実上の武器となっている。多くの国では、NCCは競争を不利にする可能性のある技能や専有情報を従業員が学ぶことを前提に、企業がリスクを取って雇用することを可能にしている。

配管工の見習いや自動車整備士、上級設計技師が、同じ郡内で独立開業することや、研修費を負担しないがやや高い賃金を提示する地域の競合企業に転職することを1年間禁じるNCCに署名することは、場合によっては合理的である。しかし、中国企業の58%は不透明なNCCを課しており、労働者がいかなる理由であれ退職した場合に処罰する略奪的な文化を助長している。

例えば、元マッサージ師の李氏は、中国の薬局で勤務したことを理由に、前雇用主から5万元(約7千ドル)を請求する訴訟を起こされた。前雇用主はその職種が十分に類似していると判断したためである。

別の事例では、警備員が別の会社で警備員として働いただけで、前雇用主から20万元(約450万円)を請求された。さらに、料理人がNCC違反を理由に約10万元(約225万円)の請求を受けた事例もある。武漢大学の調査によると、NCC関連の454件の判決のうち、上級管理職が関与していたのは21%にすぎず、残りは一般労働者が対象であった。

一般労働者に課されるNCCは、輸出の拡大と国内消費の弱さが並存する中国経済の脆弱さを助長している。この状況は、中国を世界経済の変動や貿易摩擦、保護主義のリスクにさらし、外部ショックや世界的景気後退に対する耐性を低下させている。

NCCは営業秘密を守るべきであり、一般労働者を拘束する手段であってはならない。不適切に運用された場合、NCCは職業、革新、経済成長を阻害する。中国の経験はそのことを示している。NCCは企業を健全な競争から守るための法的棍棒や、強制によって労働者を引き留める手段になってはならない。

適切に限定された状況にNCCを絞ることで、各国は革新を維持しつつ、労働者の主体性を回復できる。労働者が自由に移動し、創造し、競争的な市場で他者に奉仕しながら夢を追求できるとき、社会は繁栄する。中国の事例は、他国が追随すべきでない警告となっている。

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