防衛省 NTTデータと「戦術AI衛星」実証機開発で契約 宇宙空間での即時データ処理能力強化へ

2026/02/17 更新: 2026/02/17

防衛省は13日、宇宙領域における防衛能力強化の一環として、株式会社NTTデータとの間で「戦術AI衛星」の実証機開発に関する契約を締結したと発表した。宇宙空間で収集した情報を衛星上の人工知能(AI)で即時に分析・処理し、地上の装備品等へ直接伝達する能力の確立を目指すものだ。

契約の概要

防衛省の発表によると、当該事業名は「戦術AI衛星実証機の試作(その1)」であり、契約日は令和8年1月8日である。

本事業の主眼は、各種衛星で収集した大量の情報を、地上に送信することなく衛星上で統合処理(オンボード処理)する技術や、処理した情報を各種装備品と双方向で通信する技術を確立することにある。これにより、情報の収集から分析、そして攻撃手段(シューター)への伝達までの時間を劇的に短縮する指揮統制能力の強化が図られる。

開発の背景:現代戦における「意思決定の優位」

今回の契約締結の背景には、令和7年7月に策定された「宇宙領域防衛指針」がある。同指針では、宇宙空間が「戦闘領域」化しているとの認識の下、陸・海・空の領域における作戦能力を増幅させるため、宇宙領域の防衛能力を抜本的に強化する方針が示された。

近年、ミサイル技術の向上等により戦闘様相は迅速化・複雑化している。こうした環境下で優位性を確保するためには、膨大なデータをAIで即座に処理し、相手方よりも迅速に意思決定を行う「意思決定の優位」の確保が不可欠とされている。

従来のシステムでは、衛星が収集した生データを一度地上局へ送信し、地上で解析した後に部隊へ情報を送る必要があったため、タイムラグが生じる課題があった。これに対し、本指針では「AIを活用したオンボード処理と戦術通信」の重要性が明記されており、衛星上で目標識別や情報処理を完結させ、必要な情報のみを直接部隊へ送信する技術の実証が急務となっていた。

今後の展望と予測

本実証機の開発が進めば、将来的には衛星コンステレーション(多数の小型衛星の連携)を活用したリアルタイムな目標探知・追尾体制の構築につながることが予想される。

具体的には、AIを搭載した衛星が移動目標や極超音速滑空兵器(HGV:Hypersonic Glide Vehicle)などを自律的に識別し、そのデータを周辺の艦艇や航空機、あるいはミサイル防衛システムへ即座に共有することが可能となるだろう。これは、防衛省が目指す「スタンド・オフ防衛能力」や「統合防空ミサイル防衛能力」の実効性を高める上で極めて重要な要素となる。

また、防衛省は今後、「航空宇宙自衛隊(仮称)」への改編も見据え、民間事業者の技術力を積極的に取り込む方針を掲げている。今回のNTTデータとの契約に見られるように、商用分野で培われた先端技術の防衛用への応用(スピンオン)が加速し、国内宇宙産業基盤の強化と防衛力の向上が並行して進められていくことになろう。

大紀元エポックタイムズジャパンの速報記者。主に軍事・防衛、安全保障関係を担当。その他、政治・経済・社会など幅広く執筆。
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