日本の探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウから持ち帰った試料から、DNA(デオキシリボ核酸)やRNA(リボ核酸)構成する核酸塩基5種類をすべて検出した。海洋研究開発機構(JAMSTEC)などの研究チームが発表し、国際学術誌に掲載している。
検出したのは、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシルの5種類で、いずれも遺伝情報を構成する基本的な分子である。これまでにNASAの探査機が持ち帰った小惑星ベヌーの試料や隕石からも5種すべての核酸塩基が報告されており、今回のリュウグウでの発見は、遺伝物質の構成要素が太陽系形成過程において普遍的に生成していたことを確証した。
分析にはごく少量の試料が用いられ、複数の手法による検証が行われた。研究チームは、検出した物質が地球由来の汚染ではなく、リュウグウに由来するものと判断している。
今回見つかった核酸塩基の組成は、現在の地球上の生物とは異なる特徴も示しており、生命活動によるものではなく、非生物的な化学反応によって形成したものだ。
はやぶさ2は2014年に打ち上げられ、2018年にリュウグウへ到着し、表層および地下付近の物質を採取した。2020年に地球へ帰還し、大気に触れていない状態で試料を持ち帰った点が、従来の隕石研究と異なる。
リュウグウの試料からはこれまでにアミノ酸や有機酸なども検出しており、今回の結果とあわせ、生命を構成する分子が小惑星内部で形成していたことを示している。
アメリカの探査機による別の小惑星試料の分析も進んでおり、太陽系初期の化学環境の解明に向けた比較研究が進む見通しである。研究チームは今後も試料の詳細な分析を進める方針だ。
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