米インド太平洋軍司令官 台湾は「我々以上に自身の防衛を重視せよ」

2026/04/22 更新: 2026/04/22

米インド太平洋軍司令官のサミュエル・パパロ氏は4月21日、議会公聴会で台湾は自らの防衛のために十分な予算を確保すべきだと訴えた。アメリカの台湾防衛への関心は「台湾自身の関心を上回ることはできない」と強調し、長らく停滞している防衛特別予算の早期可決を台湾立法院に促した。

「ニワトリを飢えさせるな」 台湾に防衛予算成立を強く要請

台湾立法院で膠着状態にある防衛特別予算について、パパロ氏は上院軍事委員会の公聴会で「これは鶏が先か卵が先かという問題ではない。ニワトリを飢えさせれば、ニワトリも卵も得られない」と述べ、比喩を用いて予算成立の重要性を訴えた。

また、アメリカは台湾関係法に基づき防衛装備を提供しているものの、「台湾自身が防衛費を拠出することが極めて重要だ」と強調した。

今回の発言の背景には台湾内部の政治対立がある。頼清徳総統は昨年、2033年までの8年間で総額400億ドル(約6兆1250億円)の追加防衛予算を提案し、中国共産党(中共)の脅威への抑止力強化を目指したが、最大野党の国民党が多数を占める議会で審議が停滞している。

アメリカ側は強い関心を示しており、超党派の議員37人が台湾立法院に書簡を送り、立法の加速を要請。さらに米上院議員らは、最大140億ドル規模の新たな対台湾武器売却を近く承認することにも言及している。

パパロ氏は「空論より実行だ」と述べ、予算の進展が台湾の自衛への決意を直接示す指標になるとの考えを示した。

台湾の防衛意思に高い評価

台湾に防衛の意思があるかとのアメリカ議員の質問に対し、パパロ氏は、徴兵適齢人口の防衛意欲と能力に強い信頼を示した。

また、ロシア・ウクライナ戦争前のウクライナの世論調査は比較的低調だったが、戦争勃発後の社会全体の反応は称賛に値すると指摘。現在の台湾の世論は当時のウクライナよりも高い水準にあり、防衛への決意に引き続き自信を持っていると述べた。

さらに台湾軍についても、作戦概念の構築で成果を上げており、侵攻阻止に寄与するとの見方を示した。

中共は「侵略者の枢軸」=上院軍事委員長

今回の公聴会で、ロジャー・ウィッカー上院軍事委員長(共和党)は冒頭、中共を「侵略者の枢軸(Axis of Aggressors)」の主導者と位置づけた。

ウィッカー氏は、ロシア・ウクライナ戦争が継続し、さらにトランプ大統領が中東でイラン政権の長年の脅威に対処する行動を取っている中でも、中共が依然として同枢軸の中心的存在だと指摘。「中共および軍は長年にわたり米軍の作戦を研究し、インド太平洋地域でアメリカと同盟国に対する決定的優位性の確立を狙っている」と述べた。

パパロ氏も証言で、中共が急速な軍拡と核戦力の近代化を進め、台湾周辺での挑発行動が「武力統一の予行演習」となっていると警告した。

さらに、インド太平洋地域は21世紀におけるアメリカの安全と繁栄を左右する決定的な戦略的空間であるとし、アメリカは今後も台湾の強靭で非対称的な防衛力の構築を支援していくと述べた。

加えて、ロシアや北朝鮮、中共の連携強化も地域の緊張を高めていると指摘した。

ウィッカー氏は、防衛は一方に依存するのではなく「責任分担(バーデンシェアリング)」を追求すべきだとし、日本や韓国、フィリピン、オーストラリア、台湾との協力による強固な同盟ネットワークの構築が不可欠だと強調した。

さらに、低コストで大量配備可能な弾薬や無人機を迅速にパパロ氏へ提供すべきだとの考えも示した。

陳霆
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