米連邦準備制度 ウォーシュ議長就任後初の会合で金利据え置き

2026/06/18 更新: 2026/06/18

連邦準備制度は、インフレが2%目標を上回って推移している原因をサプライサイドの供給ショックに帰因させている。

 

連邦準備制度(FRB)は、ケビン・ウォーシュ議長の就任後初となる政策会合で、金利を据え置いた。

連邦公開市場委員会(FOMC)は全会一致の12対0で、政策金利であるフェデラル・ファンド金利の誘導目標レンジを3.5〜3.75%に維持することを決定した。会合後に公表されたFOMC声明は次のように述べている。

「中東情勢に起因する不確実性の高まりにもかかわらず、経済活動は堅調なペースで拡大している。生産性の伸びと設備投資は力強く、雇用の増加は労働力人口の伸びに見合ったペースを維持しており、失業率に大きな変化はない」

FRBは、エネルギーなど一部分野での価格上昇を引き起こしたサプライサイドの供給ショックが一因となり、インフレが2%目標を上回って推移していると指摘した。

「委員会は物価安定の回復に引き続きコミットする」と声明は述べた。

今回の会合後声明は130語と、過去と比べて大幅に簡潔な内容となった。4月の声明が341語だったのと対照的だ。

トランプ大統領は記者団に対し、今回のFRBの決定を「まあよい」と述べた。

FRBが利上げに踏み切る可能性について問われると、大統領は「考えにくい」と答えた。

「金利を引き上げれば国全体を停滞させるだけで、まったく理解に苦しむ。だが今はあそこに非常に優秀な人物がいるから、私は彼の判断に従う」とトランプ氏は語った。

ラファー・テングラー・インベストメンツの債券部門責任者、バイロン・アンダーソンは大紀元へのメールで「今日のFRBにできることは、エネルギー供給ショックが収束するのを待つ以外になかった。利上げで今の原油価格問題を解決することはできない」とコメントした。

金融政策タスクフォース

就任後初となる記者会見でウォーシュ議長は、連邦準備制度の政策および人事の両面での「体制刷新」に向けた公約を実行するため、新たな取り組みの発足を発表した。

ウォーシュ議長は、FRBのコミュニケーション、バランスシート、データソースの活用と依存度、生産性と雇用、インフレ枠組みの5分野を対象とするタスクフォースを設置すると明らかにした。

「各タスクフォースは、この組織の全員が共有する目標に向けて機能する。私がここ数日間共にしたテーブルを囲む全員が共有する目標、すなわちその使命を明確に見据え、目的に即し、未来を志向する連邦準備制度の実現だ」とウォーシュ議長は述べた。

年内をめどに提出される予定の検討報告書は、記者会見や議事録、議事録速記録を含むコミュニケーション全般を対象とする。

2%のインフレ目標を変更するかどうかについては、明言を避けた。

ウォーシュ議長は、変革は容易ではなく「リスクを伴う」と認めたうえで、「しかし最優先の目標は金融政策を正しく運営することだ。金融政策を正しく運営するには、議会から与えられた物価安定という責務を果たすことが必要であり、この点については何ら異論がなかった」と語った。

市場関係者はウォーシュ議長がどのような改革を打ち出すか注視していたが、今回の会合はその方向性を示す内容となった。

「声明が大幅に短縮され、興味深いことに雇用責務への言及が削除されたことで、コミュニケーションの変化の一端が見え始めた」とソーンバーグ・インベストメント・マネジメントの債券部門責任者、クリスチャン・ホフマンは大紀元へのメールで述べた。

「我々は引き続き、このリーダーシップ交代と『体制刷新』の行方に注目している」

今後の見通し

金融政策当局者は、イランとの紛争に起因する原油価格の高騰が実体経済全体に波及するかどうかを見極めるため、状況を注視しながら判断するスタンスを示している。

最新の経済見通し概要(SEP)によれば、当局者はインフレが2028年まで目標水準を上回って推移すると予測している。

個人消費支出(PCE)デフレーターの前年比中央値は今年3.6%と、従来予測の2.7%から上方修正された。

食料とエネルギーを除いたコアPCEデフレーターも今年3.3%と、3月予測の2.7%から引き上げられた。

成長率見通しは下方修正され、今年の実質GDP成長率は従来の2.4%から2.2%に引き下げられた。2027年と2028年も2%をわずかに上回る水準が見込まれている。

失業率は小幅改善し、従来の4.4%から4.3%に下方修正された。2027年と2028年の見通しはそれぞれ4.3%、4.2%で変わらない。

ウォーシュ議長は上院の人事承認公聴会で、FRBの各種指標に基づき米労働市場は完全雇用の状態にあるとの認識を示していた。

四半期見通しへの補足説明として、FRBはFOMC参加者19人のうち18人が政策金利と経済の見通しを提出したと明らかにした。

提出を見送ったのはウォーシュ議長本人だったと、議長は記者団に説明した。

「委員会の慣行として参加者は見通しを提出することとされており、私は同僚たちにその慣行を継続するよう促した。ただし私自身は、現在の構成の最新の経済見通し概要に対して以前から一貫して持ってきた見解に沿い、見通しの提出を見送った」と議長は述べた。

議長は4月の公聴会でこう語っていた。「FRBは自らの金利見通し(ドット)や予測を世界に発信するが、FRBも人間の集まりだ。そうすれば必要以上に長くその予測に縛られることになる。FRBが会合に入るまで決断を先送りし、会合内で熟議を重ねれば、誤りを重ねることを防げると思う。これは必要な大きな改革だと考える」

市場の反応

投資家は今年後半の利上げを完全に織り込む動きを見せた。

イランとの紛争が世界のエネルギー市場を混乱させて以来、金融市場では数週間にわたり、金融引き締めをベースシナリオとして想定してきた。

CMEのFedWatchによれば、10月の政策会合での利上げ確率は60%となっている。

FRBの金融政策の見通しを反映しやすい2年物米国債利回りは約14ベーシスポイント上昇し、4.2%近辺に達した。

「市場と消費者は、旧来の対応がデフォルトにならなかったことを喜ぶべきだ」とアンダーソンは述べた。「インフレは5年間にわたる問題であり続けているが、全会一致での現状維持は適切な判断だった。ウォーシュ議長は難しい状況を引き継いだ。効率的で思慮深い新議長のもと、誰もが安心していいはずだ」

6月17日の取引終盤、米国株は下落した。ダウ工業株30種平均、S&P500種指数、ナスダック総合指数はいずれも最大1%下落した。

アンドリュー・モランは10年以上にわたり、ビジネス、経済、金融について執筆。「The War on Cash.」の著者。
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