国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長は8月、アメリカのトランプ政権による経済制裁を受け、オンラインで記者会見を開いた。赤根氏は、制裁によって日常生活に支障が生じていると説明する一方、ICCの裁判業務に対する姿勢は変わらないと述べた。またジェノサイド条約に日本が加盟していない現状について「正直に言って恥ずかしいレベル」であると指摘した。
米国務省のマルコ・ルビオ長官は、赤根氏らを制裁対象に指定し、ICCを「腐敗し、致命的に政治化した超国家的裁判所」と批判し、「悪意をもって権限を乱用している」と主張していた。
アメリカはICCに加盟しておらず、米兵や同盟国イスラエルの当局者に対してICCが管轄権を行使することを、国家主権の侵害や法の武器化に当たるとみている。
「制裁を受ける理由はない」
赤根氏は会見で、ICCは政治的な組織であり、自身が国家主権の侵害に加担しているとのアメリカ側の主張を否定した。
ICCはローマ規定に基づき、重大犯罪について中立、公正に裁判業務を行っているとして、「制裁を受けるような理由は全くない」と述べ「Justice will and should prevail」と述べ、正義は勝利すべきだと述べた。
赤根氏を巡っては、2023年にICCがロシアのプーチン大統領へ逮捕状を出した後、ロシア側が赤根氏に逮捕状を出し、欠席裁判で有罪判決を言い渡している。
日本に対話と地域での働きかけ要請
赤根氏は、日本政府がアメリカの制裁を否定し、法の支配を支持する立場を示したことに謝意を表明した。
その上で、日米関係を通じ対話によって、事態の一層の悪化を防ぐよう日本政府に求めた。また、アメリカの圧力を受けたアジア諸国がICCから脱退することのないよう、日本が地域の国々へ働きかけることにも期待を示した。
4大犯罪の国内法整備求める
赤根氏は、日本国内の法整備にも言及した。
日本は法の支配を外交政策の柱としている一方、ローマ規定が対象とする戦争犯罪、人道に対する犯罪、ジェノサイド、侵略犯罪の4大犯罪を包括的に処罰する国内法を整備しておらず、ジェノサイド条約にも加盟していないと指摘した。
赤根氏は、特にジェノサイド条約に日本が加盟していない現状について「正直に言って恥ずかしいレベル」であると指摘し、国内法を早期に整備するよう求めた。法整備は日本の国際的な評価や地域の安全保障にも関係する課題であるとして、政府に検討を促した。
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