海自「ちょうかい」佐世保へ帰港 トマホーク実射成功 反撃能力が具体化

2026/08/28 更新: 2026/08/28

海上自衛隊のイージス護衛艦「ちょうかい」が、アメリカでの約1年に及ぶ改修・訓練・実射試験を終え、8月30日に母港の長崎県佐世保基地へ帰港する。海自艦艇として初めてアメリカ製巡航ミサイル「トマホーク」の発射能力を確認しており、日本が進める反撃能力整備の具体的な節目となる。

「ちょうかい」は2026年3月、アメリカ製巡航ミサイル「トマホーク」を発射する能力を獲得した。7月29日には太平洋上で実射試験を行い、艦艇のシステムと乗員の運用能力を含め、発射できる態勢を確認した。

海上自衛隊の艦艇がトマホークの発射能力を持つのは初めてである。

スタンド・オフ防衛能力の獲得に向け改修するため米国サンディエゴに到着した護衛艦「ちょうかい」(防衛庁 海上自衛隊)

なぜ「ちょうかい」はトマホークを搭載できるのか

「ちょうかい」は、日本初のイージス艦「こんごう」型の4番艦で、1998年に就役した。佐世保基地に配備されている。

トマホークの搭載が可能となった理由は、艦に備えられた垂直発射装置の仕様にある。

「ちょうかい」が搭載するMk 41垂直発射装置は、全長が長い「ストライク・レングス」と呼ばれる型式である。全長6メートルを超えるトマホークを搭載できる。

一方、あきづき型やあさひ型などの汎用護衛艦が搭載する装置は、比較的短い「タクティカル・レングス」である。このため、トマホークは搭載できない。

「ちょうかい」は2025年9月下旬にアメリカ・サンディエゴに向けて出港し、米海軍の支援を受けて艦の改修と乗員訓練を進めてきた。

 

反撃能力とは何か 政府が示す行使の条件

政府は2022年12月、国家安全保障戦略など安全保障関連3文書を閣議決定し、反撃能力を保有する方針を示した。

反撃能力は、相手から武力攻撃を受けた場合に、相手のミサイル発射拠点などを攻撃する能力である。政府は、攻撃を思いとどまらせる抑止力を高めることにつながるとしている。

トマホークは、米軍などで長年運用されてきた巡航ミサイルである。最大射程は約1600キロとされ、低空を飛行して地上の目標を攻撃できる。

政府は、国産の長射程ミサイルの配備までに時間がかかることから、トマホークを先行して導入する方針である。

小泉防衛大臣は8月28日の記者会見で、反撃能力について、「相手から武力攻撃を受けた場合に初めて行使する、自衛のための必要最小限度の防衛力」であり、「他国に脅威を与えるものではない」と述べた。

400発を調達へ ミサイル安定確保が残す課題

日本は2024年1月、アメリカからトマホーク400発を取得する契約を結んだ。

内訳は、最新型のブロック5が200発、ブロック4が200発である。契約額は約2540億円で、2025年度から2027年度にかけて順次納入を受ける計画である。

当初はブロック5を2026年度から取得する方針だったが、ブロック4を先に調達することで、最初の納入時期を1年前倒しした。

一方、トマホークの供給をめぐっては、アメリカの在庫や生産状況が日本向けの納入に影響する可能性を指摘する報道もある。

トマホークを発射できる艦艇の整備が進んでも、必要な数のミサイルが確保できなければ、反撃能力の実効性は限られる。

政府は国産の12式地対艦誘導弾能力向上型についても、量産と配備を進める方針である。国産ミサイルは、生産や配備を国内で計画的に進められる点が特徴である。

帰港が意味する日本の抑止力と今後の運用

「ちょうかい」の帰港は、海上自衛隊による反撃能力の整備が具体的な段階に入ったことを示すものとなる。

ただ、能力を維持し、抑止力として機能させるには、艦艇の改修だけでなく、ミサイルの安定的な確保、乗員の訓練、運用態勢の整備が必要である。

「ちょうかい」の帰港は、日本の安全保障政策にとって一つの節目であるとともに、反撃能力をどのように運用し、維持していくのかという課題の始まりでもある。

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